セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

C型肝炎-治療12

タイトル 肝P-100:

C型肝変における脾摘後インターフェロン治療の長期成績

演者 稲垣 悠二(三重大大学院・消化器内科学)
共同演者 白木 克哉(三重大大学院・消化器内科学), 竹井 謙之(三重大大学院・消化器内科学)
抄録 【目的】血小板減少を伴うC型肝硬変ではウイルス排除を目的としたインターフェロン(以下IFN)投与や肝細胞癌の治療が制限される症例が少なくない.一方で脾摘を行うことで血小板数が改善しIFN投与や肝細胞癌の治療が可能になり,更に肝予備能が改善したとの報告がなされている.今回,我々は高度の血小板減少を伴うC型肝硬変における脾摘後IFN療法の長期にわたる有用性について検討した.【方法】対象は2005年1月から2010年12月までC型肝硬変にて脾摘後IFNを施行し2年以上経過を追えている23例.検討1:IFN治療成績を検討した.検討2:IFNを導入した症例において脾摘後2年以上経過を追えている症例の血球数の推移,肝予備能の推移を評価しA群:肝細胞癌を認めない症例で脾摘後IFN導入した群,B群:肝細胞癌治療後に脾摘しIFN導入した群に分けて,発癌,予後について検討した.【結果】脾摘前の患者背景は平均年齢55±7歳,男性14例,女性9例であった.Genotype1:16例,genotype2:7例,ウイルス量は5.9±0.8log IU/ml,WBC:2890±840/μl,Plt:5.2±1.4万/μl,Child-Pugh5.8±5.8点であった. 検討1:genotype1ではSVR1例(6.3%)であり,BR2例(12.5%),再燃2例(12.5%),NR13例(81.2%)であった.それに対しgenotype2ではSVRは5例(71.4%),再燃1例,viral breakthrough1例であった.検討2:脾摘前と5年後の平均でWBC2890→6090/μl,Plt5.2万→16.4万/μl,Alb3.6→3.8mg/dlと長期にわたり改善傾向を示した.A群では平均58か月の経過観察中に1例で発癌を認め,1例で肝不全から生体肝移植となった.B群でも平均67か月の経過観察中に再発は5例(71.4%)であり,5例全例で肝細胞癌治療を行うことができた.全例生存中である.【結論】高度血小板低値を示すC型肝硬変においてgenotype1ではウイルス学的効果は低かったにも関わらず,脾摘後IFN療法をすることで肝機能を長期的に維持・改善した.新しいウイルス療法へのブリッジングや肝細胞癌治療の選択肢を広げることもでき,予後に改善の可能性をもった治療法である.
索引用語 C型肝硬変, 脾摘