セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

C型肝炎-治療13

タイトル 肝P-104:

当院における高齢C型慢性肝疾患患者に対するインターフェロン治療の実態

演者 安部 宏(東京慈恵会医大葛飾医療センター・消化器・肝臓内科)
共同演者 關 伸嘉(東京慈恵会医大葛飾医療センター・消化器・肝臓内科), 杉田 知典(東京慈恵会医大葛飾医療センター・消化器・肝臓内科), 会田 雄太(東京慈恵会医大葛飾医療センター・消化器・肝臓内科), 石黒 晴哉(東京慈恵会医大葛飾医療センター・消化器・肝臓内科), 須藤 訓(東京慈恵会医大葛飾医療センター・消化器・肝臓内科), 相澤 良夫(東京慈恵会医大葛飾医療センター・消化器・肝臓内科)
抄録 【背景】C型慢性肝疾患に対するインターフェロン(IFN)治療はペグインターフェロン,リバビリン(RBV),プロテアーゼ阻害剤(TVR)などの登場によりHCV持続陰性化(SVR)達成率が向上しているが,一方で副作用が強く治療継続が困難な症例も少なくない.特に肝細胞癌(HCC)への進展が懸念される高齢者への治療選択は重要である.【目的】当院における高齢C型慢性肝疾患患者に対するインターフェロン治療の実態を明らかにする.【方法】当院で2005年1月~2012年6月にインターフェロン治療を開始し,治療の評価が可能な534例を対象に,70歳以上を高齢群(n=77,男:女=38:39,Serotype1:2=56:21),70歳未満を非高齢群(n=457,男:女=241:216,Serotype1:2=277:180)と定義し,高齢群のインターフェロン治療の実態を非高齢群と比較検討した.【結果】治療内容は高齢群でIFN+RBV+TVR(3剤)1例,IFN+RBV(2剤)42例,IFN(1剤)34例,非高齢群で3剤16例,2剤369例,1剤72例で,投与期間に有意差はなかった.慢性肝炎(CH):肝硬変(LC)は,高齢群56:21,非高齢群395:62と高齢群で有意にLCの頻度が高かった(p=0.004).治療目的(SVR:進展予防)は,高齢群46:31,非高齢群444:13と高齢群で進展予防目的の頻度が有意に高かった(p<0.001).予定治療の完遂:副作用などによる非完遂は,高齢群47:30,非高齢群340:107と高齢群で完遂率が有意に低かった(p=0.009).SVR率は高齢群53.3%,非高齢者64.7%と有意差はなかった.特にSerotype2では高齢群でもSVR率86.7%と高率であった.【考察】高齢群では副作用などで予定通り治療を完遂できない頻度が高い一方でSVR率は非高齢群に遜色ない結果となった.特にSVRか期待できるSerotype2においては全身状態が許せば,投与量を調節しながら慢性肝疾患進展予防のみでなくウイルス陰性化を目的に治療導入する価値があると思われた.
索引用語 高齢C型慢性肝疾患患者, インターフェロン治療