セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

C型肝炎-その他

タイトル 肝P-112:

当院における高齢者C型慢性肝疾患患者の生活習慣病と肝硬変・肝細胞癌に寄与する因子の検討

演者 永瀬 寿彦(市立吹田市民病院・内科)
共同演者 湯口 清徳(市立吹田市民病院・内科), 若松 周司(市立吹田市民病院・内科), 笹川 廣和(市立吹田市民病院・内科), 長谷川 大(市立吹田市民病院・内科), 奥田 悠季子(市立吹田市民病院・内科), 谷本 考史(市立吹田市民病院・内科), 長生 幸司(市立吹田市民病院・内科), 黒島 俊夫(市立吹田市民病院・内科)
抄録 (目的)近年,我が国では高齢化社会,生活習慣病の増加が問題になっており,C型慢性肝疾患患者でも同様である.日常診療においてC型慢性肝疾患患者の診断治療を行う上で高齢者の臨床的特徴を理解することは重要と思われる.そこで,今回我々は当院における高齢者C型慢性肝疾患患者の生活習慣病合併とその肝硬変・肝細胞癌に寄与する因子を検討した.(対象)対象は当院に通院中のC 型慢性肝疾患 228 例(男性/女性=130/98)で,慢性肝炎 186 例,肝硬変 42 例,肝細胞癌 38 例である.65歳以上を高齢者とし,高齢者と非高齢者において比較検討した.(方法) 検討項目はBMI,尿酸,空腹時血糖,血中インスリン,HOMA-IR,HbA1c,総コレステロール,LDLコレステロール,HDLコレステロール,中性脂肪,肥満・糖尿病・インスリン抵抗性・高尿酸血症・高血圧・脂質異常症・脂肪肝,肝硬変・肝細胞癌の合併の有無である.次に,高齢者と非高齢者において肝細胞癌と肝硬変の有無に関するロジスティック回帰分析を行った.(結果)高齢者では非高齢者に比し,有意にHDLコレステロールが高いが他の血液検査には有意差はなかった.高齢者で高血圧が多く(p<0.0001),脂肪肝は少なかった(p=0.0006)が,他の生活習慣病に有意差はなかった.また,肝硬変,肝細胞癌の合併が多かった(p=0.0002,p<0.0001).高齢者での肝硬変,肝細胞癌有無別多変量ロジスティック解析では,糖尿病が肝硬変,肝細胞癌合併に寄与する有意因子であった(Odds比3.409,p=0.0328,Odds比3.294,p=0.0342).非高齢者では肝細胞癌で糖尿病(Odds比29.374,p=0.0304)が有意因子であったが,肝硬変では有意因子は抽出されなかった.(結論)生活習慣病の中で高齢者に多く認められたものは高血圧であった.高齢者では糖尿病が肝細胞癌だけでなく肝硬変に関与する因子として重要であった.
索引用語 C型慢性肝疾患, 生活習慣病