セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

診療連携・パス・拠点病院

タイトル 肝P-116:

肝炎ウイルス院内スクリーニング陽性者対応についての取り組み

演者 有尾 啓介(国立嬉野医療センター・消化器内科)
共同演者 磯田 広史(国立嬉野医療センター・消化器内科), 角川 淑子(国立嬉野医療センター・消化器内科), 古賀 満明(国立嬉野医療センター・消化器内科)
抄録 【目的】佐賀県は肝癌死亡率ワースト1を13年連続で記録しており,肝癌死亡率を低下させるにはHBV/HCVキャリアの拾い上げと治療介入は必須である.しかし一般診療でのスクリーニング検査が肝炎診療に有効に利用されているか明らかでない.当院での術前や入院時スクリーニングでの肝炎ウイルス検査陽性者への対応について現状を分析した.【方法】2011年4月から2012年3月までにHBs抗原とHCV抗体陽性者の特徴と専門科介入の必要性について後ろ向きに調査を行った.また2012年9月から肝臓内科スタッフによる肝炎ウイルス検査結果に基づく全科診療介入を開始し,その成果について検討を行った.【成績】1年間のHCV抗体測定件数4026件中陽性249人(6.2%),HBs抗原測定件数4102件中陽性110人(2.7%)のうち,非専門科管理はHCV抗体陽性160人(64.3%),HBs抗原陽性42人(38.2%)であったが,肝臓外来へのコンサルトは前者27人(16.9%),後者10人(23.8%)であった.HCV抗体陽性において80歳以上,HCV-RNA陰性,肝疾患専門医フォロー中,IFN治療困難な合併症などの場合以外,HBs抗原陽性においては専門医フォロー中であること以外は原則介入対象とすると前者で26人(16.2%),後者で17人(40.5%)が適切な介入を受けずに診療を終了していた.2012年9月より検査部から院内HBs抗原/HCV抗体陽性者リストを毎週肝臓専門医へメール送付するシステムを設け,専門医がカルテ情報から判断して肝臓外来予約や検査追加オーダーなど介入を開始した.その結果4カ月間で介入適応のあると判定された患者(HCV抗体陽性12人,HBs抗原陽性9人)のうち,前者で7人(58.3%),後者で6人(66.7%)に専門科介入が可能であった.【考案】検査科との連携により非専門科管理の介入適応有する肝炎ウイルス陽性者の約6割に介入可能であった.入院時・術前の肝炎スクリーニング検査を利用した専門科介入によって肝癌死亡率の抑制が可能か長期的にデータを蓄積させる必要がある.
索引用語 スクリーニング検査, 肝炎ウイルス