セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

診療連携・パス・拠点病院

タイトル 肝P-117:

肝疾患コーディネーターとインターネットを用いた診療支援システムの構築

演者 坂本 穣(山梨大附属病院・肝疾患センター)
共同演者 渡邉 真里(山梨大附属病院・肝疾患センター), 柏木 賢治(山梨大・眼科), 榎本 信幸(山梨大・1内科)
抄録 【目的】肝炎診療の課題である診療連携・均てん化の問題を解決するため全国に先駆け肝疾患コーディネーターを養成し,連携ツールとしてインターネット(IT)を用いた診療支援システムを開発し,その成果につき検証した.【方法】1)肝疾患コーディネーターの養成:全8回の講習会と試験を行い合格者には認定証を交付した.本年度は対象を看護師・保健師・栄養士・薬剤師のほか検診施設・企業診療所職員に拡大した.資格既取得者を対象にスキルアップ講座を開催しネットワークを構築し,アンケート調査を行なった.2)ITを用いた肝炎診療支援システムの開発と運用:本学で開発・運営の「慢性疾患診療支援システム」を肝炎診療に利用できるよう改修・開発した.最小限の診療情報のみを共有する独自に開発したもので,最重要情報は視覚的にわかりやすくグラフで表示し,他は別画面から参照可能とした.特別なプログラムを要せず通常のブラウザで閲覧可能なため,患者本人にも開示し疾病管理意欲の維持向上に利用可能とした.検査成績や投薬情報は医師の負担軽減のため自動入力化し,電子商取引用のセキュリーティシステムと暗号化通信を利用し,多疾患で利用可能とし開発・維持管理経費を軽減した.【結果】1)現在まで172名のコーディネーターを養成した.86%からの回答では81%が疾患に関係し93%が専門的知識・技術が診療連携に有用と回答した.肝癌診療施設・治療手技見学を取り入れたスキルアップ講座は参加全員(49名)が有意義と回答した.2)現在27施設,1875(うち肝炎113)名が本システムに加入した.初期閲覧画面は肝炎ウイルス量,AST/ALT値,腫瘍マーカーとIFNなど主要薬剤のみグラフ表示し,簡便さと高閲覧性から肝臓専門医とかかりつけ医での情報共有が容易となった.【結論】肝疾患コーディネーターや,インターネットを利用した診療支援システムは,従来の患者手帳や紹介状・報告書をも補完し診療連携に有用であることが明らかになった.
索引用語 肝疾患コーディネーター, 診療支援システム