セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

診療連携・パス・拠点病院

タイトル 肝P-119:

県内一斉テレビ広告はウイルス性肝炎の情報告知に有用である

演者 古川 尚子(佐賀大・肝疾患医療支援学)
共同演者 前山 恵士郎(佐賀県健康福祉本部健康増進課), 藤村 育恵(佐賀県健康福祉本部健康増進課), 岩崎 亮一(佐賀県健康福祉本部健康増進課), 大枝 敏(佐賀大・肝疾患医療支援学), 河口 康典(佐賀大・肝疾患医療支援学), 尾崎 岩太(佐賀大・肝疾患医療支援学), 江口 有一郎(佐賀大・肝疾患医療支援学)
抄録 【目的】佐賀県は肝がん粗死亡率13年連続ワースト1であり,県内の肝炎ウイルス検査の受検率の向上が急務である.そのためには肝炎から肝がんへの連想,検査を受ける意義,無料検査の実施などの認知について現状を考慮した適切なメッセージを発信する必要がある.そこで,今回,本県唯一の民放テレビ局で一斉に啓発広告(CM)を放送し,県民の認知度が向上するか検討した.【方法】2013年2月1日早朝から肝臓や肝炎ウイルス検査の必要性を理解することを目的として30秒間のCMを,1日を通じて約10回/日(約2700GRP(Gross Rating Point,延べ視聴率))放映した.2月5日から14日まで県内の一般住民に無作為アンケートを実施した.アンケートは年齢,性別,居住地域,Q1)CM視聴(yes/no),Q2)視聴時間帯(4区分),Q3)佐賀の肝臓のCMであることの理解(yes/no),Q4)肝炎ウイルス検査を受けなければならないことを覚えている(yes/no).【成績】回答数は517名.14日間のCM視聴率は67%であり,時間の経過と共に上昇した(p<0.01).視聴率と年代に関連はなく,男性で視聴率は低かった(p<0.01).視聴者の89%は佐賀の肝臓のCMであることを理解し,79%は検査を受ける必要性を理解していた.年代と視聴した時間帯には有意差を認め(p<0.01),コレスポンデンス分析では,70代以上が異なるエリアにマッピングされ,昼間に視聴する傾向が示唆された.一方,20~60代では午後及び夜間に視聴する傾向があった.視聴した時間帯によって,肝臓のCMであることの理解は有意差を認めなかったが,検査の必要性の理解は有意差を認め(p<0.05),内容の理解は朝視聴した群で低い傾向にあった.【結論】県内一斉テレビCMは肝炎の情報告知に有用である.一方では,伝えたいメッセージやターゲットを考慮し,内容や時間帯を工夫する必要があることが明らかとなった.(本研究はブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社より研究支援を受けている.)
索引用語 肝炎ウイルス検査, DTC効果