セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

診療連携・パス・拠点病院

タイトル 肝P-120:

HCV高浸淫地区におけるC型肝炎撲滅に向けての取り組み

演者 三宅 達也(島根大・2内科)
共同演者 佐藤 秀一(島根大・光学医療診療部), 岡本 栄祐(益田赤十字病院・消化器内科), 古田 晃一朗(益田地域医療センター医師会病院・内科), 岡本 英司(国立浜田医療センター・消化器内科), 寺井 勇(寺井医院), 藤田 委由(島根大・公衆衛生学), 木下 芳一(島根大・2内科)
抄録 【背景】島根県西部の浜田市三隅自治区(旧三隅町)はHCVの高浸淫地区であり,現在でも「肝及び肝内胆管の悪性新生物」が悪性新生物による死亡の中で第一位を占めている.そのためC型肝炎撲滅を目的として,浜田市,大学,自治区内及び周辺医療機関が中心となり,IFN治療推進のため全国のIFN治療費助成制度に先立って2007年から独自の助成制度を開始した.制度開始後5年が経過し,その成果を集計し検討した.【方法】2007年8月~2011年3月にIFN治療を導入され,旧三隅町出身者で浜田市に在住しており,三隅自治区医療費給付制度の認定を受けたC型肝炎患者164人を対象に検討を行った.制度開始時は一定限度額を超える医療費を浜田市より助成していたが,全国の助成制度が開始されてからは全国の助成額に浜田市からの給付を上乗せし患者の自己負担軽減を図った.また2011年度からは肝機能持続正常HCVキャリア(PNALT)についても給付を開始した.【成績】給付を受けた164人の内訳は,慢性肝炎148人,代償性肝硬変1人,PNALT 15人であり,ウイルス別ではセロタイプ1型高ウイルス量60人,1型低4人,2型高81人,2型低18人,判定不能高1人であった.再治療のため10人が2回制度を利用していた.現時点で治療後効果判定ができたのは129人で,SVR率は1型高51.1%,1型低50.0%,2型高79.7%,2型低94.1%,PNALTでは66.7%であり,91人のウイルス駆除に成功している.【考察】三隅自治区のHCV感染者は推計1,100人であり,5年間で約15%が制度利用し,8.3%が治癒した計算となる.肝炎ウイルス検診結果から概算した三隅自治区を除く島根県内のHCV感染者は約9,200人であるが,2008~2011年度の三隅自治区を除く助成制度利用件数は795件,制度利用率は約8.6%と低く,三隅自治区独自の助成制度の成果が得られたものと考える.
索引用語 C型肝炎, 助成制度