セッション情報 | ポスターセッション(肝臓学会)画像診断 |
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タイトル | 肝P-121:超音波造影剤ペルフルブタン(Sonazoid)を用いた胸腹水患者における横隔膜交通症の診断 |
演者 | 三好 謙一(鳥取大・機能病態内科) |
共同演者 | 孝田 雅彦(鳥取大・機能病態内科), 木科 学(鳥取大・機能病態内科), 藤瀬 幸(鳥取大・機能病態内科), 加藤 順(鳥取大・機能病態内科), 徳永 志保(鳥取大・機能病態内科), 的野 智光(鳥取大・機能病態内科), 村脇 義和(鳥取大・機能病態内科) |
抄録 | 【目的】肝硬変(LC)患者で胸水と腹水が併存する例をしばしば経験する.LCでの胸水はリンパ管を介して生じるものと,横隔膜の小孔を通じて腹水が流入する横隔膜交通症がある.後者はこの交通の遮断で胸水消失が期待できる.今回我々は胸腹水を伴う症例に対し,横隔膜交通症の診断におけるSonazoidの有用性を検討した. 【方法】対象は2007年10月から2012年10月の間,多量の胸腹水を認めた7症例で,平均年齢63.4歳であった.いずれの症例も循環器,呼吸器疾患を有さなかった.6例は非代償性LCであり,病因はHCV2例,HBV+HCV1例,アルコール1例,自己免疫性肝炎1例,病因不明1例であった.残りの1例は腹膜透析(PD)患者であった.LC患者は下腹部より,PD患者は腹膜透析カテーテルよりSonazoidを0.5ml腹腔内投与し,造影モードにて胸腹腔を観察した(倫理委員会承認1702). 【成績】全例で腹水造影が可能であった.LC2例,PD1例でSonazoidが横隔膜より胸腔へ噴出するのを観察し得た.また,LC3例では胸腔内に点状のSonazoidを観察しえたが,交通部は同定できなかった.残りのLC1例ではSonazoidの胸腔への流出は認めなかった.Sonazoidが胸腔へ噴出した3例は胸腔鏡下に縫縮術を施行し,以後胸水は消失した.残りの4例は保存的に治療を継続した. 【結論】横隔膜交通症における孔は一般的に小さく,従来ラジオアイソトープやインドシアニングリーンを用いて診断を行っていたが,コストや侵襲性,診断精度において満足のいくものではなかった.近年,Sonazoidを用いた造影エコーにより胸腹腔の交通を低侵襲かつリアルタイムに同定できた報告があるが,今回の成績でも明瞭な交通と経路不明な流入があり,症例を蓄積しての検討が必要である. |
索引用語 | 横隔膜交通症, Sonazoid |