セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

画像診断

タイトル 肝P-124:

Xenon CTによる単純性脂肪肝とNASHの早期病変の鑑別は可能か?

演者 重福 隆太(聖マリアンナ医大病院・消化器・肝臓内科)
共同演者 鈴木 通博(聖マリアンナ医大病院・消化器・肝臓内科), 野口 陽平(聖マリアンナ医大病院・消化器・肝臓内科), 服部 伸洋(聖マリアンナ医大病院・消化器・肝臓内科), 初谷 守朗(聖マリアンナ医大病院・消化器・肝臓内科), 池田 裕喜(聖マリアンナ医大病院・消化器・肝臓内科), 高橋 秀明(聖マリアンナ医大病院・消化器・肝臓内科), 松永 光太郎(聖マリアンナ医大病院・消化器・肝臓内科), 松本 伸行(聖マリアンナ医大病院・消化器・肝臓内科), 奥瀬 千晃(聖マリアンナ医大病院・消化器・肝臓内科), 佐瀬 茂(安西メディカル(株)), 伊東 文生(聖マリアンナ医大病院・消化器・肝臓内科)
抄録 【目的】単純性脂肪肝(SS)と早期の非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の鑑別は既存の画像検査では困難であり,肝生検での鑑別が必須とされている.現時点でNASHの組織評価は,病期診断にBrunt分類が,将来NASHに進展するか否かの評価にMatteoni分類が用いられる.我々はXenon CT(Xe-CT)を用いNASHの非観血的病期診断の有用性を報告した(JG 47;1238-47,2012).今回,より早期NASHの拾い上げが可能であるか否かを検討した.【対象・方法】肝生検とXe-CTを同時期に施行しNAFLDの診断に至った85例のうち,線維化進展例(Brunt分類Stage3,4)を除いた56例を対象とした.男性35例(62.5%),年齢47.0±15.4歳,BMI 27.7±4.6kg/m2であった.Brunt分類でSS 10例,Stage1 26例,Stage2 20例の3群に分類し,Matteoni分類でのType1+Type2をSS 29例,Type3+Type4をNASH 27例の2群に分類した.Xe-CT は既報の方法にて,脂肪化の指標となるXeの溶解度λと,肝組織血流量は門脈(PVTBF),肝動脈(HATBF),両者の和である総肝血流量(THTBF)ml/100ml/minを算出した.3群の解析にはTukey検定を,2群の解析にはt-testを用いた.【成績】Brunt分類で,PVTBFはSSに比しStage1,Stage2で有意に低下し,THTBFはSSに比しStage2で有意に低値であった(P<0.05).HATBF,λ値は3群間で有意差を認めなかった.一方でMatteoni分類では,SSとNASHの両群間ですべての血流量,λ値に差は認めなかった.【結論】Brunt分類ではSSとStage1,2のNASHの間には有意差を認め,軽度だが明らかな線維化進展で門脈・総肝血流量が低下したと考えられた.一方,Matteoni分類ではSSとされるType1+2と将来NASHへ進展するとされるType3+4の間に肝血流量に有意差を認めず,理由として,線維化のみならず,炎症や肝細胞障害 balloning等の肝細胞障害を加味した分類では両者の鑑別に限界があると考えられた.
索引用語 NASH, Xenon CT