セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

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タイトル 肝P-125:

肝前区域の門脈3次分枝分岐形態およびドレナージ静脈合流形式の解析

演者 栗本 亜美(兵庫医大病院)
共同演者 近藤 祐一(兵庫医大病院), 飯室 勇二(兵庫医大病院), 平野 公通(兵庫医大病院), 山中 潤一(兵庫医大病院), 藤元 治朗(兵庫医大病院)
抄録 【目的】肝前区域領域は門脈3次分枝・肝静脈のvariationが多く,系統的肝切除術を実施するにはその詳細な把握が必要である.今回,肝切除例の術前3Dシミュレーションにより前区域を解析した.【対象・方法】2007年1月~2009年3月の肝切除100例を日立メディコ社のOVAを使用し門脈3次分枝の門脈灌流領域について検討.また2012年4月~2013年3月までの肝切除40例を富士フィルム社SYNAPSE VINCENTを使用し肝静脈ドレナージ領域を検討した.【結果】門脈分枝形態:門脈3次分枝は頭側尾側型:CC型(CouinaudによるS5・S8の亜区域分類)41例(41%),腹側背側型:VD型(HjortsjoおよびRyu・Choらによる)33例(33%)箒型(門脈3次分枝が同時に3本以上分枝)26例(26%)であり,従来のCouinaudのS5S8亜区域以外が約60%を占めた.静脈形態:右肝静脈のドレナージ体積は46.4±10.5%,中肝静脈のドレナージ体積は28.3±9.6%,左肝静脈のドレナージ体積は22.7±7.1%であった.CC型の頭側領域(S8)はS8潅流領域の43.0%がMHV,56.6%はRHVによりドレナージされており尾側領域(S5)ではS5潅流領域の40.8%がMHV,59.1%はRHVによりドレナージされていた.さらにVD型では腹側領域ではその潅流領域の66.5%がMHV,33.8%はRHVによりドレナージされており,背側領域ではその潅流領域の12.9%がMHV,85.4%はRHVによりドレナージされていた.【まとめ】前区域枝潅流領域の形態は従来のCouinaudのS5S8分類から逸脱する症例が60%にも達し腹側背側領域の概念も必須である.ドレナージ静脈の解析を併せて行うことにより術中・術後の虚血・うっ血を予測することが可能になると考えられる.
索引用語 3Dシミュレーション, 肝前区域