セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

NAFLD・NASH1

タイトル 肝P-127:

メタボリック症候群に対する飲酒習慣の影響と集団節酒指導プログラム(HAPPYプログラム)による介入効果の検討

演者 原 俊哉(国立肥前精神医療センター・内科)
共同演者
抄録 【目的】メタボリック症候群(MS)は内臓脂肪の蓄積を主徴とし,NASH/NAFLDの病態形成に重要な役割を持つ.MSに対する飲酒習慣の影響は,いまだに疫学的に一定の見解が得られていない.また,NASH/NAFLDとアルコール性脂肪性肝炎(ASH)は共通した病態の基盤があるため,MSは,エタノール60g/日未満の飲酒でも肝障害の悪化をみる.今回職域においてMSに対する飲酒習慣の影響と当院の集団節酒指導プログラム(HAPPYプログラム)による介入効果を検討したので報告する.【方法】1.MSと飲酒習慣の検討:職域において男性2977名(年齢20-67歳)に対して,健康診断時に飲酒習慣をWHOのAUDITを用い,低リスク群(0-7点),中リスク群(8-14点),高リスク群(15点以上)に分類し,MSのオッズ比を比較した.2.MSに対するHAPPYプログラムによる介入効果の検討:同じ職域で特定保健審査の積極的支援,動機付け支援に該当し,AUDIT10点以上,または1週間の飲酒量がエタノール210g以上の対象者のうち,節酒指導を希望した男性78名(年齢40-55歳)にHAPPYプログラムによる介入を4週おきに計3回施行した.介入前,および6月後に飲酒量をTLFB法にて評価した.MSについては,介入前および1年後の健康診断にて評価した.【成績】1. 飲酒習慣の低リスク群,中リスク群,高リスク群のMSに対するオッズ比(95%CI)は,低リスク群に比較してそれぞれ1.51(1.06-2.96), 1.77(1.24-2.19)で有意(p<0.01)に増加した.2.MSに対するHAPPYプログラムの効果は,飲酒習慣(AUDIT)は介入前後で13.8±5.3点から10.6±4.2点と有意(p<0.01)に改善し,1週間の飲酒量は介入前後で280±17gより181±10gに有意(p<0.01)に減少した.MSの比率は介入前後で70.5%より55.1%と有意(p<0.01)に減少した.【結論】職域の日本人男性において飲酒習慣の悪化とともにMSの頻度は高くなる.MSに対するHAPPYプログラムによる介入は,MSの改善,さらにはNASH/NAFLD,ASHなどの脂肪性肝疾患の予防・治療に有用である.
索引用語 メタボリック症候群, 飲酒習慣