セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

NAFLD・NASH1

タイトル 肝P-128:

1日平均飲酒量が20g以上60g未満の脂肪性肝疾患患者の臨床的特徴に関する検討:全国調査の検討から

演者 福村 敦(金沢医大・肝胆膵内科)
共同演者 林 伸彦(金沢医大・肝胆膵内科), 齊藤 隆(金沢医大・肝胆膵内科), 湊 貴浩(金沢医大・肝胆膵内科), 松江 泰弘(金沢医大・肝胆膵内科), 尾崎 一晶(金沢医大・肝胆膵内科), 土島 睦(金沢医大・肝胆膵内科), 堤 幹宏(金沢医大・肝胆膵内科)
抄録 【目的】アルコール (AL) 性肝障害 (ALD) の診断の定義は純エタノール換算で1日60g以上であり,非AL性脂肪性肝疾患 (NAFLD) は1日20g以内とされている.しかし,1日20g以上60g未満の飲酒量が脂肪肝に及ぼす影響については十分に検討されていない.今回,厚労省「わが国における飲酒の実態調査およびALに関する生活習慣病とその対策に関連する総合的研究」に基づき,2011年に施行した全国調査をもとにそれらの患者の特徴について検討した.【方法】対象は,肝生検にて診断されたAL性脂肪肝 (AL-FL) 55例,NAFLD [単純性脂肪肝 (NAFL) 52例,NASH 112例] である.1日平均飲酒量を,積算飲酒量÷飲酒年数÷365 日で算出し直し,1日飲酒量が60g以上をAL群,20g未満を非AL群,20g以上60g未満をBorder (B) 群とし,BMI,AST/ALT比,γ-GTP,MCV,「the ALD/NAFLD Index (ANI) 」について分析した.なお,B群の女性例が少数であるため男性のみで検討した.【成績】B群の平均1日飲酒量は36.7±10.8 gであった.B群がAL群と非AL群との間にいずれにも有意差を認めたのは,AST/ALT比とANIで,γ-GTP値はAL群との間に,MCVは非AL群との間に有意差を認めた.BMIは,AL群と非AL群の間にのみ有意差を認めた.B群27例のアンケート調査の診断はAL-FLが14例,NAFLが5例,NASHが8例であった.飲酒量60g未満のAL-FL 14例のうち7例(50%)がBMI 25以上であった.NAFL 5例ではBMI 25以上が2例でその飲酒量は40 g以下であったが,BMI 25未満の3例中2例では40 g以上であった.また,NASH 8例ではBMI 25以上が6 例(75%)で,1例以外飲酒量は40 g以下であった.【結論】B群はAL群と非AL群のほぼ中間の特徴を示したが,B群のうちAL-FLは飲酒量よりも肥満の影響が,NAFLは肥満よりも飲酒量が影響していることが示唆された.
索引用語 飲酒歴, 脂肪肝