セッション情報 | ポスターセッション(肝臓学会)NAFLD・NASH1 |
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タイトル | 肝P-129:DPP-4阻害薬の糖尿病合併非アルコール性脂肪肝疾患における肝機能改善効果 |
演者 | 田原 一樹(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科) |
共同演者 | 浪崎 正(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 上嶋 昌和(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 山尾 純一(奈良県立医大・中央内視鏡・超音波部), 吉治 仁志(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 豊原 眞久(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 守屋 圭(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 瓦谷 英人(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 錦織 麻衣子(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 福井 博(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科) |
抄録 | 【目的】非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の一部は非アルコール性脂肪肝炎 (NASH) へと進行するが,このような症例は高頻度に耐糖能障害を合併することが知られている.近年,新たな糖尿病治療薬としてDPP-4阻害薬 (DPP4-I) が注目され,臨床でも使用されている.今回は,NAFLD合併2型糖尿病 (DM) 患者におけるDPP4-Iの肝機能改善効果について検討した.【方法】2010年2月から2012年11月までの間にDPP4-Iを8ヶ月以上投与されたDM患者629例のうち,ASTまたはALTが30 IU/L以上のNAFLD症例11例を対象としてAST,ALT,γ-GTPおよびHbA1cの推移について検討した.なお,肝機能改善効果が報告されているGLP-1アナログ,ピオグリタゾンおよびビグアナイド系薬剤が投与されておらず,観察期間中投薬の変更を行っていない症例を対象とした.【結果】対象患者の投与開始時の臨床背景は,男/女=7/4,平均年齢 60.0±12.6歳でbody mass index 24.3±6.61 と軽度肥満傾向であった.AST,ALT,およびγ-GTPはDPP4-I投与により経時的に低下傾向を示し,8ヶ月後には投与前に比し各々 15.5%,28.4%,26.7% 改善していた(前/後平均値: AST 39.1/33.1,ALT 44.4/31.8,γ-GTP 69.6/51.0).解析対象を投与前AST/ALTが40 IU/L以上の症例 (n=6)に限ると,ALT値はDPP4-I投与5ヶ月後において55.2±24.2から33.5±11.8 IU/Lと有意に低下していた (p<0.05).なお,HbA1cは投与2ヶ月後から有意な改善を示し8ヶ月後には7.73±1.37から6.36±0.83へと低下していた (p<0.01).【結論】DPP4-IはNAFLD合併DM患者におけるDMの改善に有用であるのみならず,肝機能改善効果をも有する可能性が示された.生活習慣指導による肝機能改善が困難な症例に対する治療として有用であると考えられ,今後多数例での解析が求められる. |
索引用語 | NAFLD, 糖尿病 |