セッション情報 |
ポスターセッション(肝臓学会)
NAFLD・NASH1
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タイトル |
肝P-130:インクレチン製剤は2型糖尿病を合併したmetabolic liver disease (MeLD:メタボ肝)のALT値早期改善に有効である
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演者 |
大木 隆正(三井記念病院・消化器内科) |
共同演者 |
五十川 陽洋(三井記念病院・糖尿病代謝内科), 戸田 信夫(三井記念病院・消化器内科) |
抄録 |
【背景】2型糖尿病(T2DM)をはじめとする生活習慣病に起因する脂肪肝は,しばしば肝障害を引き起こす.そのような病態をmetabolic liver disease (MeLD or メタボ肝)と定義し,T2DMを合併したメタボ肝患者に対するインクレチン製剤の経時的な改善効果について,インクレチン製剤を使用していないT2DM合併メタボ肝患者を比較対象として検討した.【方法】2003年4月から2012年12月まで,当院でフォロー中のT2DM合併メタボ肝患者155例を対象とし,インクレチン製剤(Inc)使用群,コントロール(Con)群の2群に分け検討を行った.両群の薬物治療介入時の患者背景,血液検査所見を比較するとともに,最終フォローアップ時の改善度合いを比較検討した.また,ALT値の累積正常化率に関してカプランマイヤー法を用いて比較検討した.ALT値の累積正常化率に関わる因子に関しては,Cox比例ハザードを用いた単・多変量解析で検討を行った.【結果】Inc群は102例,Con群は53例であった.観察終了時点で,ALT値,空腹時血糖,HbA1cは両群で有意に改善した.しかしながら,体重に関しては,Inc群で有意に減少したが(80.0 kg から78.1 kg, P<0.01),Con群では変化を認めなかった(76.4 kg から77.0 kg, P = 0.68).ALT値の累積正常化率は,Inc群(250日: 20.5%,500日: 35.1%),Con群(250日: 15.8%,500日: 26.7%)とInc群の方がより早期に改善を認めた(P = 0.04).多変量解析では,インクレチン製剤の使用(OR 0.44, P<0.01),高血圧の存在(OR 1.60,P = 0.048),脂質代謝異常の存在(OR 1.64,P = 0.04)が,ALT値の累積正常化率に関わる独立した因子として抽出された.【結論】インクレチン製剤の投与はT2DM合併メタボ肝患者のALT値を早期に改善させるだけでなく,従来の治療群と比較して有意に体重を減少させた.また,メタボリックシンドロームの構成要素である高血圧,脂質代謝異の存在は,ALT値の早期改善の妨げになることがわかった. |
索引用語 |
インクレチン, NAFLD |