セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

NAFLD・NASH1

タイトル 肝P-131:

NASHに対するメトホルミンの有効性,その効果に関連するマイクロRNAの同定

演者 桂 明子(香川大・消化器・神経内科)
共同演者 谷 丈二(香川大・消化器・神経内科), 坂本 鉄平(香川大・消化器・神経内科), 平田 修三(香川大・消化器・神経内科), 龍田 美和(香川大・消化器・神経内科), 豊田 由花(香川大・消化器・神経内科), 三好 久昭(香川大・消化器・神経内科), 加藤 清仁(香川大・消化器・神経内科), 樋本 尚志(香川大・消化器・神経内科), 米山 弘人(香川大・消化器・神経内科), 小野 正文(高知大・消化器内科), 正木 勉(香川大・消化器・神経内科)
抄録 【目的】NASHに対して,有用とされる治療法はいくつか報告されてはいるが,いまだ確立された治療法はない.またマイクロRNAは複数の標的遺伝子の発現を制御することで,疾病の発症にも関連している.今回我々はNASHモデルマウスを用いて,糖尿病治療薬であるメトホルミンを投与し,その有効性の検討と,その効果に関連するマイクロRNAを網羅的に解析した.
【方法】8週齢雄性C57BL/6Nマウスにメチオニン・コリン欠乏食(MCD)を自由摂食させ,NASHモデルマウスを作製し,以下の3つのグループにランダムにふりわけた.1群;MCD+メトホルミン1.2mg/day(経口投与),2群;MCD+メトホルミン2.4mg/day(経口投与),3群;MCDのみ.4群;コントロール(普通食)の計4群とした.15週後に犠死させ,肝組織および血液を採取した.HE染色,アザン染色,Oil-red O染色を行い組織学的に脂肪化,炎症,線維化の程度を検討した.また,3群と4群における肝組織のマイクロRNAを網羅的に解析し,NASH肝において特異的に変動するマイクロRNAを1719分子から検討した.さらにメトホルミン投与群(1・2群)と非投与群(3群)において治療効果に関連するマイクロRNAを1719分子から検討した.
【成績】3群においてMCD投与により肝に著明な脂肪化および炎症細胞浸潤を認めた.メトホルミン投与によって血清AST,ALT値は有意な減少を示した(P<0.05).組織学的にも,メトホルミン投与群では非投与群と比較し脂肪化ならびに炎症細胞浸潤は改善を示していた.さらにメトホルミン投与群,非投与群間において,肝組織内におけるマイクロRNAは異なるクラスターを形成していた.またメトホルミン投与によるNASHの改善効果に関連する2種類のマイクロRNAを同定した.
【結論】糖尿病治療薬であるメトホルミンはNASHの治療薬となりうることが示され,その治療効果に関連するマイクロRNAを同定した.
索引用語 メトホルミン, マイクロRNA