セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

NAFLD・NASH2

タイトル 肝P-132:

検診大規模cohortにおけるNAFLDの長期予後に対する検討

演者 山崎 大(手稲渓仁会病院・消化器病センター)
共同演者 辻 邦彦(手稲渓仁会病院・消化器病センター), 姜 貞憲(手稲渓仁会病院・消化器病センター), 桜井 康雄(手稲渓仁会病院・消化器病センター), 児玉 芳尚(手稲渓仁会病院・消化器病センター), 真口 宏介(手稲渓仁会病院・消化器病センター), 進藤 直樹(渓仁会円山クリニック)
抄録 【目的】インスリン抵抗性の一表現型であるNAFLDの長期予後を検討した.【対象と方法】2000年以降に当院の検診施設を受診し,10年以上経過の追跡が可能であった8070例中,アルコールの関与(エタノール20g/日以上)が疑われる3937例とHBs抗原陽性の117例及びHCV抗体陽性の22例を除いた4004例を対象とした.観察開始時にUSで脂肪肝が指摘されているNAFLD群と,脂肪肝のない健常群に分けて比較検討した.【検討項目】1.臨床背景,2.10年後の合併症,3.脂肪肝の経過,4.NAFLDを改善することでのMetabolic syndromeを回避するNNT(number needed to treat).【結果】1.観察開始時にNAFLD群は685例(17.1%),健常群は3319例であった.年齢の中央値は44(28-66)歳 vs 41(18-93)歳(p<0.001),男女比は119:566 vs 1615:1704(p<0.001), BMIは26.0±2.9 vs 21.9±2.9 (p<0.001),喫煙率は272/685(39.7%) vs 1251/3319(37.7%)(p=0.32)と,NAFLD群は中高年の肥満女性に多かった.2. 10年後の合併症は,脳血管障害が18/685(2.6%) vs 43/3319(1.3%)(p=0.01),心疾患が38/685(5.5%) vs 88/3319(2.7%)(p<0.001),Metabolic syndromeが236/685(34.5%) vs 258/3319(7.8%)(p<0.001)と,合併症はいずれもNAFLD群で多く認められた.3.観察終了時に脂肪肝であった者は,NAFLD群で528/685(77.1%),健常群で622/3319(5.3%)(p<0.001)であり,NAFLD群は10年以上経過しても大部分は脂肪肝の改善はなく,一方,健常群からの新規の脂肪肝合併は低値であった.4. NAFLD群685名中,NAFLD改善群157名とNAFLD非改善群528名を比較すると,観察終了時にMetabolic syndromeを合併したのは,37/157(23.6%) vs 199/528(37.7%)(p=0.001)で,NAFLDを改善することでのMetabolic syndromeを回避するNNTは7.1人であった.【結語】NAFLDの約8割は10年の長期観察でも改善はみられず,合併症が多く認められた.しかし,NAFLDを改善することでMetabolic syndromeを回避できる可能性が示唆された.
索引用語 NAFLD, Metabolic syndrome