セッション情報 |
ポスターセッション(肝臓学会)
NAFLD・NASH4
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タイトル |
肝P-142:Nonalcoholic steatohepatitis (NASH)に合併した肝細胞癌 (HCC)根治術後の予後(非B非C非NASH-HCCとの比較)
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演者 |
橋爪 洋明(群馬大附属病院・病態制御内科学) |
共同演者 |
佐藤 賢(群馬大附属病院・病態制御内科学), 蒔田 富士雄(国立西群馬病院・消化器外科), 堀口 昇男(群馬大附属病院・病態制御内科学), 山崎 勇一(群馬大附属病院・病態制御内科学), 柿崎 暁(群馬大附属病院・病態制御内科学) |
抄録 |
【目的】近年非B非C型HCCが注目されているが,その中でNASH由来と非NASH由来のHCCの予後を比較した報告は少ない.本研究はNASH-HCCと非B非C非NASH-HCC (飲酒量が20g/日以上,あるいは背景肝の病理組織学的検討からNASHと診断されないHCC症例) の根治術後の予後を比較検討した.【方法】2001年から2010年までに当科において根治術が施行されたNASH-HCC 16例と非B非C非NASH-HCC 27例について,臨床病理学的背景と術後の再発率・生存率を比較検討した.飲酒量が不明な症例と明らかな他肝疾患 (AIH,PBC,先天性代謝異常など)を合併する症例は除いた.【結果】NASH-HCC群では年齢71歳,男:女=7:9,BMI 26.1,背景肝F2:F3:F4 = 1:2:13,Child-Pugh (C-P)分類 A:B:C = 11:5:0,臨床病期 stage 1;2;3;4 = 7:7:2:0,5年生存率74.0%,10年生存率52.9%,無再発5年生存率13.5%であった (全てHCC診断時,中央値で表記).BMIはNASH-HCC群で有意に高く,男性比率・腫瘍サイズ・PIVKA-II・臨床病期は非B非C非NASH-HCC群で有意に高かった.年齢,糖尿病・高血圧など合併症,腫瘍個数,肝予備能 (C-P score),ICG15(%),空腹時血糖,HOMA-IR,LDL-C/HDL-C/中性脂肪,AFPに両群間で差を認めなかった.両群間で無再発生存率に差は認めない (P = 0.523)ものの,全生存率は非B非C非NASH-HCCで有意に低かった (5年生存率64.1%,10年生存率41.2%,P = 0.011).【結論】両群間でHCC再発率に差はなく,いずれも高率であることから術後の厳重なフォローが必要と考えられた.NASH-HCCと比較し,非B非C非NASH-HCCでは有意に癌の臨床病期の進行例が多く,根治術後の生存率が低い.我々はNASH発癌において高齢・男性・肥満・糖尿病・肝線維化進行が危険因子であることを報告し (肝胆膵, 2007:54;339-48. 消化器科,2009:48;88-96.),NASHのフォローに役立てている.非B非C非NASH-HCCにおいても早期のHCCスクリーニング体制構築が望まれる. |
索引用語 |
NASH, 肝細胞癌 |