セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

NAFLD・NASH4

タイトル 肝P-144:

当院におけるNASH肝癌とASH肝癌の臨床背景の比較検討

演者 宗景 玄祐(高知大・消化器内科)
共同演者 越智 経浩(高知大・消化器内科), 小野 正文(高知大・消化器内科), 小笠原 光成(高知大・消化器内科), 廣瀬 享(高知大・消化器内科), 高橋 昌也(高知大・消化器内科), 岩崎 信二(高知大・消化器内科), 西原 利治(高知大・消化器内科)
抄録 【目的】非アルコール性脂肪肝炎(NASH)はアルコール性脂肪肝炎(ASH)と病理学的に類似の形態をとることが知られているが,肝細胞癌発症患者における臨床的背景の相違についての検討は充分とは言えない.
【方法】今回我々は,当院において治療を行った初発肝細胞癌患者のうち,NASH肝癌患者(NASH-HCC)12例とASH肝癌患者(ASH-HCC)30例において,その臨床的背景の相違について比較検討を行った.
【成績】体重,BMIはNASH-HCCがASH-HCCに比べ有意に大きかった.しかし,男女比,年齢には差は無く,最大腫瘍径,腫瘍数,再発率,生存率に関しても両群間に明らかな差を認めなかった.さらに,血液検査上もAFP,PIVKA2,ALT,AST,GGT,T-Bil,NH3,PLT,PT,ICG15分値および脂質・糖代謝関連マーカーにおいても明らかな差は認めなかった.肝細胞癌治療に伴う肝予備能への影響については,両群ともに治療後に血清アルブミン値の低下を認めたがPT値には影響が見られなかった.さらに,治療前後でのアルブミン,PTの変化率には両群間で有意な差は見られなかった.
【結論】NASH-HCCとASH-HCCにおける臨床的比較検討では,体重,BMI以外に有意な違いは認めなかった.一般にASHは男性に多く,NASHは女性の割合がASHよりも比較的多いとされているが,当院での肝発癌症例では男女比,年齢に関してASHと差を認めなかった.また,AFP,PIVKA2もNASHでは上昇しない傾向にあるとの報告もあるが,ASHと差がないだけでなく,著明な上昇を伴う例も認めた.NASHではChild-Pugh Aの症例が多く,肝予備能が比較的保たれている段階での発癌例が多い傾向であった.以上のことから,NASH,ASHともに肝細胞癌発症に際し早期から注意深く経過観察を行うことが必要であると考えられた.
索引用語 NASH, HCC