セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

肝循環・門脈圧亢進症1

タイトル 肝P-151:

門脈圧亢進症に見られる腸管壁浮腫

演者 武藤 修一(苫小牧市立病院・消化器科)
共同演者 高橋 亜季(苫小牧市立病院・消化器科), 宮本 秀一(苫小牧市立病院・消化器科), 江藤 和範(苫小牧市立病院・消化器科), 小西 康平(苫小牧市立病院・消化器科)
抄録 【背景】肝硬変などの門脈圧亢進症(以下,門亢症)の合併症として,食道・胃静脈瘤や腹水,肝性脳症は代表的である.この他にも胃粘膜の血管拡張やうっ血による浮腫が生じる門脈圧亢進症性胃症は頻繁に臨床で接する事が多いが,下部消化管において腸管粘膜の浮腫や発赤が生じるとされる門脈圧亢進症性腸症については報告が少ない.【目的】近年有用性が知られるようになった消化管エコー検査(US)を用いて,肝硬変患者の腸管壁浮腫について検討した.【対象と方法】対象は2012年6月~11月の間にUSを施行した肝硬変患者43例(男性27例,女性16例,年齢中央値65歳(37~82歳)).小腸と大腸の粘膜層・粘膜下層を主体とした壁肥厚がみられたものを肥厚群,認めないものを非肥厚群とし,肝硬変の原因,Child分類,アルブミン値,食道静脈瘤・側副血行路・腹水の有無について検討した.【結果】肥厚群は20例,非肥厚群23例であった.有為差が見られたのは,アルコール性肝硬変(p<0.01),Child B・Cであること(p<0.001),腹水の有無(p<0.0001).また,アルブミン値は肥厚群で有意に低かった(p<0.001).【考察】今回の検討からは門亢症が増悪した状態の時に,USで腸管壁浮腫をみとめており,門脈圧亢進症性腸症の一所見と考えられた.また,6例ではあるが同一の患者の時間的な経過をみると,腹水が減ると腸管の壁肥厚も軽減していた.門亢症患者の腸管壁肥厚の臨床的意義は不明であるが,門脈圧亢進性腸症の画像所見と考えられ,腸管のUSは門亢症の状態と有効循環血液量を評価できる可能性を示唆している.
索引用語 門脈圧亢進性腸症, エコー