セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

肝循環・門脈圧亢進症1

タイトル 肝P-153:

難治性腹水に対するDenver 腹腔-静脈シャント術の適応に関する検討

演者 山田 晃(住友病院)
共同演者 吉田 有里(住友病院), 常松 日奈子(住友病院), 向井 章(住友病院), 黒川 三佳(住友病院), 岸田 修(住友病院)
抄録 【はじめに】Denver腹腔-静脈シャント術は,内科的治療に抵抗性の難治性腹水に対して適応され,腹水の劇的な改善により,患者のquality of life(以下QOL)は著しく高まる.しかし,重篤な合併症により術後早期に死亡する例もあり,症例ごとに慎重な適否の判定が必要となる.今回我々は,当院におけるDenver 腹腔-静脈シャント術の治療成績を詳細に解析し,その適応基準をretrospectiveに検討したので報告する.【対象・方法】2004年から2012年まで当院にてDenver 腹腔-静脈シャント術を施行した11例(男性7名,女性4名,平均年齢男性65.3歳,女性72.5歳).患者背景,合併症,肝予備能などを,シャント術成功例(術後軽快退院)と不成功例(術後退院しないまま死亡)に分けて比較検討した.【成績】肝硬変の病因としては,HCV陽性が6例,HBV陽性1例,非B非C2例,アルコール性2例であった.Child-Pugh分類グレードBが5例,Cが6例であり,パフォーマンス・ステイタス(PS)はグレード2が5例,3が2例,4が4例であった.成功例は7例(64%)で平均年齢は68.4歳,不成功例は4例(36%)で平均年齢は67歳であった.Child-Pugh分類ではグレードBの5例とCの2例が成功例で,Cの4例が不成功例であった.PSでは成功例はすべてグレード3以下であり,不成功例はすべてPS4であった(p<0.003).成功例での生存日数は,現在も生存中の5例を含めて865±824日であり,不成功例での生存日数は36±25日であった(p<0.002).最長生存例はHCCに対するRFA治療歴のある肝硬変(HCV+)患者で,シャント術後8年目で現在も生存中であった.一方,最短死亡例はアルコール性肝硬変で,術後19日目にDICで死亡した.【結論】Denver 腹腔-静脈シャント術は,PS3以下の難治性腹水例がよい適応になると考えられた.
索引用語 難治性腹水, Denver腹腔-静脈シャント