セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

肝循環・門脈圧亢進症2

タイトル 肝P-156:

分割PSEの安全性と有用性の検討

演者 宮澤 祥一(日本大・消化器肝臓内科)
共同演者 水谷 卓(日本大・消化器肝臓内科), 伊藤 潔(日本大・消化器肝臓内科), 大平 俊一郎(日本大・消化器肝臓内科), 阿部 真久(日本大・消化器肝臓内科), 田村 彰教(日本大・消化器肝臓内科), 松本 直樹(日本大・消化器肝臓内科), 中村 仁美(日本大・消化器肝臓内科), 松岡 俊一(日本大・消化器肝臓内科), 森山 光彦(日本大・消化器肝臓内科)
抄録 【緒言】PSEは脾機能亢進による血小板低下例や静脈瘤の改善に有効な手段として定着し,摘脾術に比べ門脈血栓症の発生が低いため最近増えている.また副反応としての高度熱発,腹痛や重篤な合併症としての脾膿瘍やDIC,肝不全などの問題点があるため,近年分割したPSEを行う施設が増加している.【目的】当施設で施行したPSE症例を単回例および分割例に分けて,副反応,合併症,および治療効果について検討したので報告する.【内訳と方法】2003年3月~2013年3月までに施行したPSE総数55例.脾内動脈を6つに分類した系統的PSEを施行した.年齢中央値63.7(43~73)歳,男:女=43:12,肝硬変の成因 HCV:HBV:NBNC=33:3:19,Child分類A:B=10:45,最終脾梗塞率平均68.5(63~82)%.治療回数は単回:2回:3回=35:19:1.分割PSEの適応は巨脾例,糖尿病コントロール不良例,年齢70歳以上としている.【検討項目】副反応(熱発・疼痛・炎症反応)と,敗血症やDICや脾膿瘍などの合併症については全例で検討した.1年間以上詳細にフォローされた症例11例に,治療前後の肝予備能・血球・NH3について検討した.これらはCTCAE v4.0で検討した.【結果】総数55例において平均最終梗塞率(治療終了3か月後のCT判定)は単回:分割=67%:71%であった.CRPと最高発熱は有意差をもって分割例に低かった.入院期間は分割例に有意に短かった.重篤な合併症は単回例でも分割例でもみられず,各血液データーも結果に遜色は認めなく,CTCAE v4.0によっても重篤なものはみられなかった.【結論】初回50%程度の緩慢な塞栓をしたのちに追加塞栓する分割PSEは術直後の疼痛や熱発を軽減でき入院期間を短縮させ,DM悪化症例や高齢者はステロイド使用を回避させることが可能である.初回から時間が経つほど脾機能の回復がされるため,3か月以内に2回目のPSEを施行した方がよいと考えられた.【結語】分割PSEは安全かつ確実に治療できる方法と考えられた.
索引用語 門脈圧亢進症, PSE