セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

肝循環・門脈圧亢進症2

タイトル 肝P-158:

当院で過去5年間に部分的脾動脈塞栓術を施行した症例の検討

演者 小川 智(神戸市立医療センター中央市民病院・消化器内科)
共同演者 杉之下 与志樹(神戸市立医療センター中央市民病院・消化器内科), 北本 博規(神戸市立医療センター中央市民病院・消化器内科), 高島 健司(神戸市立医療センター中央市民病院・消化器内科), 増尾 謙志(神戸市立医療センター中央市民病院・消化器内科), 松本 知訓(神戸市立医療センター中央市民病院・消化器内科), 佐竹 悠良(神戸市立医療センター中央市民病院・消化器内科), 福島 政司(神戸市立医療センター中央市民病院・消化器内科), 和田 将弥(神戸市立医療センター中央市民病院・消化器内科), 占野 尚人(神戸市立医療センター中央市民病院・消化器内科), 井上 聡子(神戸市立医療センター中央市民病院・消化器内科), 鄭 浩柄(神戸市立医療センター中央市民病院・消化器内科), 藤田 幹夫(神戸市立医療センター中央市民病院・消化器内科), 岡田 明彦(神戸市立医療センター中央市民病院・消化器内科), 猪熊 哲朗(神戸市立医療センター中央市民病院・消化器内科)
抄録 【目的】脾機能亢進症による血小板減少のためIFNや化学療法を導入できない症例に対して血小板数増加目的に部分的脾動脈塞栓術(PSE)は施行される. 今回, 当院でPSEを施行した症例の背景や経過からその特徴と問題点を検討した.
【方法】2008年から2012年の5年間に当院でPSEを施行した17症例(のべ18件)の施行目的,治療効果,合併症を検討した.
【成績】男11例女6例,年齢平均値は61歳(48-76歳)であった. 施行目的は進行C型慢性肝炎に対してIFN導入11例, 肝細胞癌に対して肝動注療法(HAIC)導入3例, アルコール性肝硬変患者への大腸癌化学療法導入1例, C型肝硬変による出血傾向改善目的1例, 門脈血栓症による静脈瘤治療1例であった. PSE施行時の肝機能(Child-Pugh score)の平均値は6.2点(5-8点)で, 施行後に肝機能低下は認めなかった. 平均血小板数はPSE前5.5×104/μlから治療導入前9.5×104/μlへと増加を認めた. 塞栓物質はゼラチンスポンジのみ12件, コイルのみ1件, 併用4件で, 最終的な塞栓領域は50-80% 9例, ≧80% 8例であった. IFN導入目的症例のHCVサブタイプは1b/2a/2b/3a 6/3/1/1例であり, 導入した治療はPeg-IFN/RBV 8例, Peg-IFN/RBV/TVR 1例, Peg-IFN単剤 1例で, 1例は導入前に肝細胞癌が見つかり中止した. 治療効果は著効(SVR12含む)/再燃/無効/治療中 3/4/2/1例で, サブタイプ1bに関しては著効率20%(1/5例)であった. HAIC導入目的症例の治療効果は1例PR, 1例PD, 残り1例は本人の希望で導入しなかった. また, 胃静脈瘤(Lg-fF2)は消失した. 合併症は発熱89%, 疼痛89%, 胸水22%, 腹水11%, 無気肺11%で重篤な合併症は認めなかった.
【結論】PSEにより当初施行することが困難と考えられた治療方法を多くの症例に導入することが可能であり, 一定の効果を得ることが出来た. また軽微な合併症は高率に認めるが, 重篤な合併症はなかった.
索引用語 脾機能亢進症, 脾動脈塞栓術