セッション情報 | ポスターセッション(肝臓学会)肝硬変・肝線維化1 |
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タイトル | 肝P-161:MMP-1トランスジェニックマウスモデルにおける肝線維化予防効果の検討 |
演者 | 林 伸彦(金沢医大・肝胆膵内科) |
共同演者 | J. George(金沢医大・肝胆膵内科), 松江 泰弘(金沢医大・肝胆膵内科), 湊 貴浩(金沢医大・肝胆膵内科), 齊藤 隆(金沢医大・肝胆膵内科), 福村 敦(金沢医大・肝胆膵内科), 尾崎 一晶(金沢医大・肝胆膵内科), 土島 睦(金沢医大・肝胆膵内科), 堤 幹宏(金沢医大・肝胆膵内科) |
抄録 | 【目的】肝の線維化には,慢性炎症がトリガーとなりKupffer細胞からのサイトカインの分泌,肝星細胞の活性化によるコラーゲン合成系と,Matrix-metalloprotainase (MMP)およびtissue inhibitor of metalloproteinase (TIOM)の分解系が複雑に関与している.近年,MMP-1が1型コラーゲンの分解に重要な役割を演じていることが指摘されているが,その詳細については明らかではない.そこで,MMP-1が存在しないマウスに,MMP-1の遺伝子を導入し,N-nitorsodimethylamine (NDMA) 投与による肝線維化を予防する可能性があるか検討することとした.【方法】野生型(W群)とMMP-1トランスジェニックマウス(MMP-1群)にNDMAを1mg/100g体重,週3日,4週間腹腔内投与した.【結果】W群では血清AST,ALT値,ヒアルロン酸,TGF-βおよびprocollagen 3 peptide値の著明な上昇が認められたが,MMP-1群ではいずれも明らかな上昇は認められなかった.肝組織の免疫染色では,W群では,肝星細胞は著明に活性化し,1型コラーゲン,ヒアルロン酸の肝への沈着を認めたが,MMP-1群では肝星細胞の活性化は認められず,1型コラーゲン,ヒアルロン酸の肝への沈着も認められなかった.I型コラーゲン,αSMA,TGF-β量について,qRT-PCRとウェスタンブロッティングを行ったが,免疫染色による成績と同様であった.【考察】NDMA投与にTGF-βが増加し,肝星細胞の活性化,コラーゲン合成が誘導されるが,MMP-1を発現させることにより,NDMA投与によるによるコラーゲン合成のトリガーとなるべきTGF-βの増加が抑制され,肝星細胞の活性化が起こらないことが明らかになった.このことから,MMP-1が単にコラーゲン分解を促進するだけでなく,肝星細胞の活性化を抑制する作用を有している可能性が示唆された. |
索引用語 | 肝線維化, MMP |