セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

肝硬変・肝線維化2

タイトル 肝P-164:

肝硬変に対する分岐アミノ酸製剤投与によるイベント抑制,検査値改善について

演者 野ツ俣 和夫(福井県済生会病院・内科)
共同演者 上田 晃之(福井県済生会病院・内科), 松田 尚登(福井県済生会病院・内科), 真田 拓(福井県済生会病院・内科), 新 浩一(福井県済生会病院・内科), 渡邊 弘之(福井県済生会病院・内科), 登谷 大修(福井県済生会病院・内科), 田中 延善(福井県済生会病院・内科)
抄録 【緒言】肝硬変に対するBCAA製剤の有用性を,当院の症例から後ろ向きに検証した.【対象と方法】2001年より当院にてイベントのない肝硬変と診断され治療を受けた523例,BCAA無投与(Control)群297例(男164例,女133例,年齢65.8±11.2歳)とBCAA投与群226例(男117例,女109例,年齢67.1±9.7歳)を対象とし,イベントは,HCC,肝不全,静脈瘤破裂とした. BCAAの内訳は,Livact単独(LIV) 128例,AminolevanEN単独(EN)16例,LIVにENをLESとして併用(LIV+EN)82例であった.方法は,Kaplain-Meier法によるイベントフリーの生存分析を行い,Cox-ハザードモデルによるハザード比を算出した.また,経過観察中のアルブミン値(Alb),血小板数(Plts)の推移から,一次回帰曲線の傾きを最小二乗法にて算出した.【結果】Cotrol群,BCAA群の全例では差がなかったが,Alb≦3.5g/dL例では,BCAA投与群でイベント発生リスクが半減した(HR:0.450, p=0.0040).BCAA製剤別では,LIV単独,LIV+EN併用ともControlに比し有意にイベント発生リスクが低く(HR:0.554,0.554, p=0.0039,0.0011),LIV+EN群ではLIV単独群より有意に低かった(HR:0.644, p=0.0040).イベントをHCCのみにすると,Alb≦3.5g/dL例でのLIV+EN群,LIV単独群間でイベント発生リスクに差はなかった(HR:1.2903, p=0.0848).検査値の推移では,Alb値はControl群で負の傾きを示し(-0.487±0.594/年),BCAA群で正の傾きを示し(0.375±1.011/年)差は有意であった.血小板数はControl群(-1.773±7.598/年),BCAA群(-0.825±8.673/年)で差はなかったが,BCAA群で低下が抑えられる傾向があった.【結論】Alb値が3.5g/dl以下の肝硬変患者に対するBCAA投与により,Alb値上昇,Plts値低下抑制,イベント発生リスク低下がみられ,BCAA投与が有用であることが検証された
索引用語 分岐アミノ酸製剤, 肝硬変