セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

肝硬変・肝線維化2

タイトル 肝P-167:

レボカルニチン製剤投与中のC型肝硬変患者に対する運動療法の有用性の予備的検討(アウトカム評価)

演者 福沢 嘉孝(愛知医大医学教育センター)
共同演者 長谷川 共美(愛知医大運動療育センター), 池本 竜則(愛知医大運動療育センター), 山田 晴生(JAあいち健診センター), 米田 政志(愛知医大・消化器内科)
抄録 【目的】1990年後半頃より,肝硬変(LC)患者の栄養状態の変化に伴い,PEMの頻度が有意に低下していることが明確化してきた.更に,肥満人口が年々増加している本邦において,肝発癌を視野に入れた栄養介入のみでなく,運動介入も同時に必要な時代が到来してきている.今回我々は,既述報告(JDDW, 2012)で,ある程度のQOL向上を取得したレボカルニチン製剤投与中の外来C型肝硬変( LC-C )患者に対して,より一層のQOL向上のために,健康運動指導士介入による運動療法を実施し,prospective にアウトカム評価(特にQOL)を検討した.【方法】対象はSGA評価で一見すると元気なレボカルニチン製剤投与中の外来LC-C患者16例(平均年齢;68.9±8.7歳)中,運動療法に同意した7例(平均年齢;70.6±6.0歳)である.方法は対象患者に週2回の有酸素性作業閾値(AT)での歩行を6ヶ月間実施した場合のアウトカム評価(運動効果・QOL向上)に関して,身体学的関連・生化学的・栄養学的パラメーター及び健康関連QOLスコア (SF-8) を定期的に測定し,運動療法前後で統計学的に解析した.【成績】1)形態計測では腹囲の軽度減少傾向を認めた,2)安静時血圧・脈拍減少傾向を認めた,3)運動療法後の柔軟性,全身反応時間の軽度改善傾向を認めた,4)心肺持久力・体力向上傾向を認めた,5)体力測定・生活関連テストにおいて,バランス能力低下を認めた,6)運動療法効果の検討は,個々の性別・年齢・体力・心理的要因にも左右される可能性があり,症例数を集積して再検討を要する,7)運動療法期間中の重篤な有害事象は皆無であった,8)SF-8 によるQOL評価は,3項目(GH,VT,PCS)で上昇傾向を呈した.【結論】以上より,SGAで一見すると元気に見えるレボカルニチン製剤投与中の外来LC-C患者の参加登録数の更なる増加により,健康運動指導士介入による運動療法におけるQOL向上効果の可能性が示唆された.
索引用語 C型肝硬変, 運動療法