セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

肝硬変・肝線維化2

タイトル 肝P-168:

肝硬変患者の補正HbA1c算出式の作成とその有用性の検討

演者 井手 康史(佐賀大附属病院・肝臓・糖尿病・内分泌内科)
共同演者 磯田 広史(国立嬉野医療センター・消化器内科), 小平 俊一(佐賀大附属病院・肝臓・糖尿病・内分泌内科), 蒲池 紗央里(佐賀大附属病院・肝臓・糖尿病・内分泌内科), 中下 俊哉(佐賀大附属病院・肝臓・糖尿病・内分泌内科), 岩根 紳治(佐賀大附属病院・肝臓・糖尿病・内分泌内科), 大枝 敏(佐賀大・肝疾患医療支援学), 河口 康典(佐賀大・肝疾患医療支援学), 江口 有一郎(佐賀大・肝疾患医療支援学), 尾崎 岩太(佐賀大保健管理センター), 水田 敏彦(佐賀大附属病院・肝臓・糖尿病・内分泌内科)
抄録 【背景】肝硬変患者の多くは糖代謝異常を有している.空腹時低血糖は蛋白異化を促進し,高血糖は発癌へ関与する可能性が示唆されている.しかし肝硬変患者においては,一般的に糖尿病のマーカーとして用いられるHbA1cやグリコアルブミン(GA)は脾機能亢進や蛋白合成能低下などのために平均血糖を正確に反映しないことが多く,糖尿病治療を行う上での妨げとなっている.今回我々は持続血糖測定装置(CGMS)を用いて肝硬変患者の糖代謝解析を行い,平均血糖推定式及び補正HbA1c作成を試みた.
【方法】対象は肝硬変患者27名.男性13名,平均年齢68.7歳(35-84歳),Child-Pugh Aが14例,Bが11例.CGMS system Gold(Medtronic社)を5日間装着して日内血糖変動の評価を行い,平均血糖に関連する肝予備能マーカーを検索し,これを元に補正HbA1c算出式を作成した.初発肝癌で根治が得られたC型肝硬変78例での無再発期間と補正HbA1cの関連を検討した.
【結果】CGMSで得られた平均血糖とHbA1c・GAはいずれも正の相関を認めた(HbA1c; r=0.411, GA; r=0.675).血清アルブミン値と平均血糖には低い負の相関(r=-0.271)がみられ,Child-Pugh scoreが上がると平均血糖が上昇する傾向にあった.肝予備能マーカーと糖代謝マーカーからCGMSで得られた平均血糖を推定する式を作成し,これを元に補正HbA1c算出式を作成した(補正HbA1c(NGSP) =9.1+0.673×HbA1c(NGSP) -0.298×Hb-0.841×Alb).初発HCCに対して根治が得られたC型肝硬変症例の無再発期間は補正HbA1c6.2未満で有意に長かった(p=0.003)
【考察】肝予備能を考慮した補正HbA1cを用いることで,より厳密な血糖コントロールを行うことが可能となり,肝硬変および肝癌患者の予後改善に寄与することが示唆された.
索引用語 CGMS, 糖代謝