セッション情報 |
ポスターセッション(肝臓学会)
肝不全・栄養療法1
|
タイトル |
肝P-169:急性・慢性肝不全における血漿ADAMTS13測定の意義
|
演者 |
高谷 広章(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科) |
共同演者 |
植村 正人(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科DELIMITER奈良県立医大・医療安全推進室), 瓦谷 英人(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 森岡 千恵(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 藤本 正男(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科), 早川 正樹(奈良県立医大・輸血部), 松本 雅則(奈良県立医大・輸血部), 藤村 義博(奈良県立医大・輸血部), 福井 博(奈良県立医大・消化器・内分泌代謝内科) |
抄録 |
【目的】一般に末期肝不全では高率に多臓器不全(MOF)が合併するが,その成因として臓器微小循環障害が注目されている.ADAMTS13は肝星細胞から産生され,血小板と最も反応性に富む超高分子量VWF multimer(UL-VWFM)を分解するが,本酵素活性が低下すると血小板血栓形成傾向となり,微小循環障害が惹起される.今回急性・慢性肝不全における血漿ADAMTS13の動態を肝不全の重症度,合併症,予後との関連のもとに検討した.【方法】対象は健常人(N)30例,肝硬変(LC) 109例,アルコール性肝炎(ALH) 28例,重症アルコール性肝炎(SAH)5例, 急性肝炎(AH)26例,急性肝不全(ALF)12例である.血漿ADAMTS13活性, VWF抗原はELISAにて測定した.【結果】ADAMTS13活性(入院時平均)は,N 100%に比し,LC-Child A 79%, Child B 63%, Child C 31%, ALH 58%,SAH 24%, AH 68%, ALF 23%とChild C-LC, SAH,AHFで減少し,なかでもChild C 5例,AHF 2例では3%以下にまで著減した.VWF抗原はChild C-LC, SAH,ALFで増加した.SAH,ALFの死亡例ではADAMTS13活性はさらに著減し,VWF抗原はさらに著増した.またLCの食道静脈瘤,肝腎症候群,難治性腹水,肝性脳症合併群でもADAMTS13活性は著減し,VWF抗原は著増した.LCの累積生存率はADAMTS13正常から軽度低下群(>50%),中等度低下群(25-50%),中等度から高度低下群(<25%)の順に低下した(p<0.05)【結論】従来より肝予備能はさまざまな検査や徴候の組み合わせで評価されており,包括的評価に用いられる単一の検査法は少なかった.また有用ではあっても複雑,高額,高侵襲の検査法も存在する.血漿ADAMTS13は簡便な検査法で単一で急性・慢性肝不全両病態の重症度,合併症,生存率の評価が可能であり,肝予備能評価の新しい指標となる可能性がある. |
索引用語 |
肝不全, ADAMTS13 |