セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

肝不全・栄養療法1

タイトル 肝P-172:

経頸静脈的肝生検の手技的改良の検討

演者 石川 達(済生会新潟第二病院・消化器内科)
共同演者 窪田 智之(済生会新潟第二病院・消化器内科), 木村 成宏(済生会新潟第二病院・消化器内科), 堀米 亮子(済生会新潟第二病院・消化器内科), 本田 博樹(済生会新潟第二病院・消化器内科), 岩永 明人(済生会新潟第二病院・消化器内科), 関 慶一(済生会新潟第二病院・消化器内科), 本間 照(済生会新潟第二病院・消化器内科), 吉田 俊明(済生会新潟第二病院・消化器内科)
抄録 【目的】肝生検は慢性肝炎の診断を中心に,通常は経皮的におこなわれている.しかし,原因不明の肝疾患の場合には予想外の出血などの合併症をもたらす危険性がある.また,腹水貯留症例や高度の凝固異常患者など出血傾向を示す症例では経皮的肝生検は原則的に禁忌である.経頸静脈的肝生検(Transjuglar Liver Biopsy:以下TJLB)は上記症例でも肝組織の摂取が可能であり,手技の選択肢が増えることは患者の利益になりうる.しかし煩雑な手技であることから,一般に普及するまでにはいたっていない.この理由の一つに,既存の外套シースが非常に硬く,スムーズな肝静脈へのアプローチに難渋することがあげられる.今回われわれは,肝静脈造影および肝静脈圧測定の際に用いたテルモ社製エスワンシース8Fr 50cm LRVをガイドにTJLBをおこない,既存のCook社製テフロン製TJLB 用シースとの比較検討を行った.【方法】2003年4月より当院にてTJLBが施行された101例について,Cook 社テフロン製TJLB 用シース(9Fr 45cm vascular sheath)を用いた41症例と,テルモ社製エスワンシース8Fr 50cm LRVを用いた60症例においての施行時間,合併症につき,比較検討した.【成績】患者背景である年齢,性別に両群間に有意差は認めなかった.平均施行時間はCook 社製 テフロン製TJLB 用シースで26.93±7.94分,テルモ社製エスワンシース8Fr 50cm LRVを用いた60症例20.12±4.52分と有意に低下した.しかし,後者の方法では60例中2例(3.3%)はCook 社テフロン製TJLB 用シースに変更を要した.両群とも重篤な合併症は認められなかった.【結論】テルモ社製エスワンシース8Fr 50cm LRVを用いたTJLBはシースの入れ替えなしに生検ができるため,時間的短縮は可能であった.しかし,肝静脈の角度によってはシースの固定が不安定となり,生検針が挿入できない症例も存在した.本手技により,より短時間で安全かつ容易な手技的改善が得られ,TJLBの普及に貢献しうると考えられた.
索引用語 TJLB, 手技的改良