セッション情報 |
ポスターセッション(肝臓学会)
肝不全・栄養療法1
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タイトル |
肝P-173:肝移植検討例における疾患別にみた肝予備能評価項目の相違
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演者 |
千嶋 さやか(東京女子医大・消化器内科) |
共同演者 |
徳重 克年(東京女子医大・消化器内科), 橋本 悦子(東京女子医大・消化器内科), 谷合 麻紀子(東京女子医大・消化器内科), 鳥居 信之(東京女子医大・消化器内科), 白鳥 敬子(東京女子医大・消化器内科), 江川 裕人(東京女子医大・消化器外科), 山本 雅一(東京女子医大・消化器外科) |
抄録 |
肝疾患の病因により肝予備能評価項目は異なり,一律にMELD scoreを用いることは問題である.今回移植適応委員会で検討された症例を疾患別に分類し,肝予備能の特徴を比較検討した.方法と対象)当院で1996年-2013年に肝移植適応委員会で検討された成人肝疾患84例(年齢21歳-70歳,男性43%)を対象とした.疾患別にa.急性肝不全11例<FH群>,b.ウイルス性肝硬変<ウイルス群>18例,c.アルコール性肝硬変5例<ALC群>,d.肝細胞癌9例<HCC群>,e.胆汁うっ滞性肝疾患<Chole群>27例,f.その他14例に分類した.肝硬変は原則としてChild分類Grade Cで,HCCではミラノ基準を満たすものを移植適応とした.FH群,ウイルス群,ALC群,HCC群,Chole群の5群間で,臨床病理学的に比較検討した.結果)1)MELD score; FH群30.9(点)/ウイルス群 18.6/アルコール群 21.6/HCC群 15.6/Chole群21.7で,FH群が高値であった.2) Alb値はすべての群で低値で,総ビリルビン値はFH群・Chole群で高値であった<FH群23.8(mg/dl)/ウイルス群 5.0/アルコール群 6.5/HCC群 2.5/Chole群18.0,p<0.01>.血清クレアチニン値は各群間で有意差を認めなかった.3) 血小板数;ウイルス群・アルコール群・HCC群は低値であったが,Chole群・FH群では10万以上であった<FH群15.3 (万)/ウイルス群 6.5/アルコール群 7.4/HCC群 6.4/Chole群12.2, p<0.01>.4)PT%;FH群が最も低値で,Chole群はPT60%以上が41%を占めた<FH群35.4(%)/ウイルス群 45.0/アルコール群 53.4/HCC群 47.0/Chole群53.4, p<0.01>.結語)総ビリルビン・血小板数・PT%は,重症肝疾患でも疾患別に異なる傾向を示した.Chole群では,凝固因子が保たれ,MELD scoreは移植適応評価に適さない.肝移植治療はすでに末期肝不全の治療選択の1つとなった.その適応を逸することなく正確な肝機能評価をすることは肝臓専門医の重要な役割である. |
索引用語 |
肝予備能, 肝移植 |