セッション情報 |
ポスターセッション(肝臓学会)
肝不全・栄養療法2
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タイトル |
肝P-174:肝硬変患者の血清ナトリウム値についての検討
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演者 |
白木 亮(岐阜大附属病院・消化器内科) |
共同演者 |
華井 竜徳(岐阜大附属病院・消化器内科), 宮崎 恒紀(岐阜大附属病院・消化器内科), 今井 健二(岐阜大附属病院・消化器内科), 末次 淳(岐阜大附属病院・消化器内科), 高井 光治(岐阜大附属病院・消化器内科), 清水 雅仁(岐阜大附属病院・消化器内科), 森脇 久隆(岐阜大附属病院・消化器内科) |
抄録 |
【目的】血清ナトリウム値は肝硬変患者において,肝性脳症・肝腎症候群・移植後の経過・予後に関連する重要な因子との海外報告を散見するが,本邦での詳細な検討はなされていない.そこで今回当院消化器内科で加療中の肝硬変患者において,低ナトリウム血症(135mEq/L未満)の頻度および肝硬変の合併症(腹水・脳症・食道静脈瘤)や利尿剤内服との関連につき調査検討した.【方法】2012年5~7月の3ヶ月間に当院で加療中の肝硬変患者264名(男:女167:97名,年齢68.7±11.3歳)を対象とした.肝硬変の原因は,HBV 31名,HCV 165名,アルコール 36名,その他 32名.Child-Pugh分類は,A 186名,B 41名,C 37名,肝癌合併患者は126名.また,経口分岐鎖アミノ酸製剤を継続服用している患者は77名.血液検査・肝硬変の合併症・利尿剤内服と血清ナトリウム値の関連につき検討を行った.【結果】1. 血清ナトリウム値の平均値は136.4±3.8mEq/Lであり,低ナトリウム血症の割合は14.5%であった.また腹水合併肝硬変患者では,35.7%に低ナトリウム血症を認めた.2. 低ナトリウム血症に寄与する因子は,単変量解析では男性・Child分類・腹水・食道静脈瘤・血清アルブミン値・血清ALT値・プロトロンビン値・ループ利尿剤投与(フロセミド40mg以上)であり,多変量解析では男性・腹水・血清ALT値であった.3. 低ナトリウム血症のリスクは,静脈瘤合併肝硬変では2.9倍,腹水合併肝硬変では5.8倍高かったが,脳症との関連は認めなかった.【結論】海外では低ナトリウム血症は約5割に認められるという報告があるが,日本の肝硬変における低ナトリウム血症の頻度は海外と比べて少なかった.低ナトリウム血症の原因として,今回の検討では海外で報告されている利尿薬との関連性は少なく,病態の進展が低ナトリウム血症の原因と考えられた.腹水合併肝硬変では約3割に低ナトリム血症が認めら,これらの症例に対する管理については今後の検討課題である. |
索引用語 |
肝硬変, 血清ナトリウム |