セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

肝不全・栄養療法2

タイトル 肝P-176:

肝硬変患者におけるアミノ酸分析

演者 中根 邦夫(市立秋田総合病院・消化器・代謝内科)
共同演者 石井 元(市立秋田総合病院・消化器・代謝内科), 津田 聡子(市立秋田総合病院・消化器・代謝内科), 山田 育弘(市立秋田総合病院・消化器・代謝内科), 大野 秀雄(市立秋田総合病院・消化器・代謝内科), 吉田 達哉(市立秋田総合病院・消化器・代謝内科), 辻 剛俊(市立秋田総合病院・消化器・代謝内科), 小松 眞史(市立秋田総合病院・消化器・代謝内科)
抄録 【目的】肝硬変患者ではアミノ酸の代謝異常があり,BCAAの低下を特徴とするアミノ酸インバランス状態にある.そのため,現在低アルブミン血症や肝性脳症の治療にBCAA製剤が用いられている.最近ではBCAA製剤による発がん抑制の報告もある.今回我々は肝硬変患者の血液中のアミノ酸分析を行い,肝がん患者と非癌患者で比較し肝がんとアミノ酸インバランスについて検討した.【対象・方法】当科に入院した肝硬変患者199例(AIH 3例,Alcohol 52例,Alcohol+HCV 5例,HCV 105例,HBV 8例,PBC 4例,原因不明22例),平均年齢68.8歳,肝がん合併134を対象とした.全例39種類の血液中アミノ酸濃度と末梢血生化学検査を行った.【成績】BCAA製剤内服群57例と非内服群131例の比較ではバリン,ロイシン,イソロイシンの濃度に有意差を認めなかった.ビリルビン,アンモニアが内服群で有意に高く,コリンエステラーゼ,アルブミンは有意に低値であった.癌患者と非癌患者でに比較では年齢72.1歳:62.0歳(p<0.001),グリシン,モノエタノールアミンは非癌患者で有意に高く(p<0.001),アラニン,オルニチン,リジンはがん患者で有意に高値であった(p<0.001).BCAA,Fisher比については両群で有意さを認めなかった.生化学検査では総ビリルビン,γ-GTP,アンモニアが非癌患者で有意に高く(p<0.01),コリンエステラーゼ,ナトリウム,アルブミン,AFP,赤血球,PT%は癌患者で有意に高値であった(p<0.01).【結論】今回の検討でBCAA内服群と非内服群でバリン,ロイシン,イソロイシンに有意差がなかったのは,BCAA内服群がより肝機能障害が進んでおりBCAA低下していたため,BCAA内服しても非内服群よりも高値になり得なかったと考えられる.癌患者と非癌患者の比較ではBCAAには有意差がなく,グリシン,モノエタノールアミン,アラニン,オルニチン,リジンなどで有意差を認めた.このアミノ酸インバランスが肝癌に特異的な変化であるかは,さらに多数例での検討が必要である.
索引用語 肝硬変, アミノ酸