セッション情報 |
ポスターセッション(肝臓学会)
肝不全・栄養療法2
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タイトル |
肝P-177:肝硬変症例に対する分子鎖アミノ酸内服有無による自覚症状の検討
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演者 |
中尾 直美(公立八女総合病院・看護部) |
共同演者 |
永松 洋明(公立八女総合病院・肝臓内科), 小川 聡志(公立八女総合病院・看護部), 平井 真吾(公立八女総合病院・肝臓内科), 筒井 りな(公立八女総合病院・肝臓内科), 城野 智毅(公立八女総合病院・肝臓内科), 出口 章広(公立八女総合病院・肝臓内科), 小野 典之(公立八女総合病院・肝臓内科) |
抄録 |
【目的】肝細胞癌は肝硬変症例に発症することが多く,肝機能や栄養状態を保つことは予後の改善につながる.今回,分子鎖アミノ酸製剤を内服することにより治療前後の血清アルブミン値や,様々な肝硬変により生じる症状に差があるかを検討した.【対象】2012年10月から2013年1月までの期間当院肝臓病棟に入院した肝硬変患者60例を対象とした(平均年齢75.2歳,平均入院日数20.8日,HBV / HCV / nonBC:5 / 50 /5例,Child A / B / C:31 / 21 / 8例).【方法】60例のうち分子鎖アミノ酸を内服している26症例をA群,内服していない34症例をB群とする.A群とB群間において入院時,退院時,退院1か月後の血清アルブミン値をMann-WhitneyのU検定で比較した.また倦怠感,腹満感,掻痒感,震戦,下肢浮腫,不眠,筋力低下を3段階で症状のアンケートをとりスコア化し,A群とB群間の差を比較した.【結果】入院時血清アルブミン値はA群 / B群:3.02 / 3.63 g/dL(P<0.01),退院時血清アルブミン値はA群 / B群:2.74 / 3.08 g/dL(P=0.02),退院1か月血清アルブミン値はA群 / B群:3.08 / 3.53 g/dL(P=0.006)であった.入院中アルブミン低下率はA群 / B群:9.39 / 14.69%(P=0.004)であった.症状のアンケートにおいてA群とB群において有意差がみられたのは腹満感のみであった(P=0.013).腹満感ありと回答した患者はA群:16例(61.5%)に対してB群:10例(29.4%)であった.これに関連して腹水貯留症例はA群:17例(65.3%),B群:9例(26.4%)であった.【結論】A群は有意にアルブミン値が低く肝機能不良症例が多かったが,入院中のアルブミン低下率はB群より有意に少なかった.またA群において腹水貯留例が多く,腹満感においては差がみられたが,ほかの肝硬変に伴う自覚症状においては差がみられず,分子鎖アミノ酸内服の効果とも考えられる.今後積極的に分子鎖アミノ酸内服を推奨し,内服のコンプライアンスを高める必要がある. |
索引用語 |
肝硬変, 分子鎖アミノ酸製剤 |