セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

原発性肝癌-発癌2

タイトル 肝P-190:

ヒストン脱メチル化酵素KDM5Bの高発現は肝細胞癌切除例で予後不良因子の1つである

演者 重河 嘉靖(和歌山県立医大・2外科)
共同演者 速水 晋也(和歌山県立医大・2外科DELIMITER東京大医科学研究所・ヒトゲノム解析センター), 谷 眞至(和歌山県立医大・2外科), 川井 学(和歌山県立医大・2外科), 上野 昌樹(和歌山県立医大・2外科), 廣野 誠子(和歌山県立医大・2外科), 岡田 健一(和歌山県立医大・2外科), 宮澤 基樹(和歌山県立医大・2外科), 清水 敦史(和歌山県立医大・2外科), 山口 俊介(和歌山県立医大・2外科), 浜本 隆二(東京大医科学研究所・ヒトゲノム解析センター), 中村 祐輔(東京大医科学研究所・ヒトゲノム解析センター), 山上 裕機(和歌山県立医大・2外科)
抄録 【目的】エピジェネティクスは癌研究において注目されている分野の1つであるが,その詳細なメカニズムについては不明な点が多く,特に肝細胞癌における報告は少ない.今回ヒストン脱メチル化酵素KDM5Bに着目し,肝細胞癌症例でのKDM5Bの発現と予後との相関を検討し,さらに肝細胞癌細胞株を用いて機能解析を行った.【対象・方法】2000年から2006年に当科で初回手術を施行した肝細胞癌105例に対し,KDM5B抗体にて免疫染色を行い,臨床データとの相関を調査した.細胞培養株を用いた機能解析では,KDM5Bに特異的なsiRNAを作成してknockdownし,細胞増殖実験・細胞周期解析・invasion assayを施行した.さらに,western blottingにてKDM5BとE2F1・E2F2との関連について調べた.【結果】・臨床検体における免疫染色での評価:KDM5B陽性例(陽性群)は54例,陰性例(陰性群)は51例であった.背景因子として,AFPは陽性群が統計学的に有意に高値であり(88.0ng/ml vs 11.5ng/ml, p=0.004,低分化な症例が多く(well/moderately/poorly = 7/38/9 vs 13/36/2, p=0.044),血管浸潤例が多かった(yes/no = 16/38 vs 7/44,p=0.049).5年生存率では陽性群が有意に予後不良であった(61% vs 77%, p=0.047).・KDM5B抑制系を用いた機能解析: 細胞増殖実験では,siEGFP群(control群)と比較してsiKDM5B群で有意に細胞増殖が抑制され(p<0.05),細胞周期解析では,control群と比べsiKDM5B群にてG1期→S期への移行が抑制された(p<0.05).invasion assayでは,control群と比較してsiKDM5B群で有意に浸潤が抑制された(p<0.05).【結語】肝細胞癌においてヒストン脱メチル化酵素KDM5Bの高発現群では予後不良であった.また,そのメカニズムとしてKDM5Bが細胞増殖と浸潤に関与することが示唆された.
索引用語 肝細胞癌, ヒストン修飾