セッション情報 |
ポスターセッション(肝臓学会)
原発性肝癌-発癌2
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タイトル |
肝P-194:傍肝門胆管癌と肝内胆管癌におけるジクロロメタン代謝関連酵素の発現
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演者 |
佐藤 保則(金沢大・形態機能病理学) |
共同演者 |
原田 憲一(金沢大・形態機能病理学), 佐々木 素子(金沢大・形態機能病理学), 中沼 安二(金沢大・形態機能病理学) |
抄録 |
【目的】大阪府の印刷事業場における胆管癌の発症において,ジクロロメタンなど揮発性化学物質へのばく露との関連が注目されている.ジクロロメタンはGST(グルタチオン-S-トランスフェラーゼ)経路とCYP(チトクロムP450)経路により代謝され,前者の経路で産生される中間代謝物が発癌に関与するとされる.これまでにわれわれは,正常の胆管上皮は免疫組織学的にGST T1-1を発現したがCYP2E1の発現がなく,さらに印刷事業場の胆管癌症例においても同様の発現状態であることを確認した.今回,通常の胆管癌を対象としてGST T1-1とCYP2E1の発現を検討した.【方法】傍肝門胆管癌(13例),肝内胆管癌(10例)の外科的切除材料のホルマリン固定パラフィン包埋組織切片を対象とした.胆管癌の前癌/初期癌病変として胆管内乳頭状腫瘍(IPNB)(5例),胆管上皮層内腫瘍(BilIN)を合併した肝内結石症(10例)の外科的切除材料も対象として加えた.これらの症例におけるGST T1-1とCYP2E1の発現を免疫組織化学的に検討した.【成績】GST T1-1は検討した4群の腫瘍(傍肝門胆管癌,肝内胆管癌,IPNB,BilIN)のすべてにおいて発現していた.同一症例でもGST T1-1の発現は部位により強弱があったが,いずれの症例にも中等度以上の発現強度を示す部位を認めた.CYP2E1は検討した4群の腫瘍とも多くは陰性であったが,いずれの群にもCYP2E1が部分的に弱く陽性を示す症例があった.特にBilINではCYP2E1が弱陽性を示す割合が他の3群よりやや高かった.【結論】通常の胆管癌やその前癌病変にGST T1-1の発現が認められた.意義付けに関しては,今後の検討課題と考えられた. |
索引用語 |
肝臓, 胆管癌 |