セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

原発性肝癌-診断2

タイトル 肝P-201:

肝癌診療における腫瘍マーカーの有効性における検討(AFP-L3を中心に)

演者 花岡 拓哉(松江赤十字病院・消化器内科)
共同演者 内田 靖(松江赤十字病院・消化器内科), 板倉 由幸(松江赤十字病院・消化器内科), 山下 詔嗣(松江赤十字病院・消化器内科), 實藤 宏美(松江赤十字病院・消化器内科)
抄録 【目的】AFP正常域でも測定が可能となった高感度AFP-L3測定の有用性は以前報告した.今回はAFP上昇例も含めて肝癌診療における臨床的有効性をAFP,DCPの結果と比較検討する.【方法】2010年1月から2012年3月までの間に当院で肝癌と各種画像診断(ダイナミックCT,EOB-MRI,(造影)超音波のいずれか1つ以上)で診断を受けた151例について上記腫瘍マーカーを測定し,診断能,予後因子について検討した.今回の症例ではAFP正常域(AFP<20ng/mL)の症例は76例(50.3%)【結果】患者背景について,平均年齢71.4歳(49-91),男性:女性=104:47,背景疾患はHBV:HCV:NBNC(アルコールなし):ALD=36:85:22:8であり,Child-PughスコアはA:B:C=108:41:2となった.Stagingは1:2:3:4=27:48:60:16でやや進行例が多かった.根治的治療(外科的切除,RFA,CRが得られたTACEなどで,術後1年間は局所・異所性再発が認められなかった場合と定義)が可能であった症例は38例(25.1%)であった.観察中に死亡した症例は54例(35.8%)であった.統計学的解析では,ALD症例におけるDCPの上昇傾向を除いては各種腫瘍マーカーともに背景疾患やChild-Pughスコアなどには影響を受けない結果であった.癌の進行度(Staging)に合わせていずれのマーカーも有意差を伴って上昇傾向を認めた.一方,診断後1年以内の早期死亡についてはAFP-L3(p<0.0001),DCP(p=0.015),門脈浸潤の有無ではAFP-L3(p<0.0001),DCP(p=0.037)と2種が有意な独立因子となり,根治的治療の可否の予測因子としてはAFP-L3(p<0.0001),AFP(p=0.007)の2種が独立因子となった.【結論】AFP-L3はAFPの上昇の有無に関係なく,他の腫瘍マーカーと同等,あるいは予後因子における有用なマーカーであると考えられた.
索引用語 肝癌, 腫瘍マーカー