セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

原発性肝癌-診断2

タイトル 肝P-202:

肝癌切除における新たなNX-PVKA-R測定の有用性

演者 和田 英雄(長崎大大学院・腫瘍外科学)
共同演者 七島 篤志(長崎大大学院・腫瘍外科学), 阿保 貴章(長崎大大学院・腫瘍外科学), 荒井 淳一(長崎大大学院・腫瘍外科学), 高木 克典(長崎大大学院・腫瘍外科学), 国崎 真己(長崎大大学院・腫瘍外科学), 党 和夫(長崎大大学院・腫瘍外科学), 日高 重和(長崎大大学院・腫瘍外科学), 竹下 浩明(長崎大大学院・腫瘍外科学), 永安 武(長崎大大学院・腫瘍外科学)
抄録 【目的】PIVKA-IIは鋭敏な肝癌診断のマーカーであるがVitamin Kが不足する病態で異常を示し,背景肝や高齢者合併症に伴う抗凝固剤服用頻度の増加に影響される事も少なくない.近年,開発されたNX-PVKAは肝細胞癌から産生されるPIVKA-IIをより鋭敏に反映するマーカーである.今回肝切除例におけるNX-PVKAの初期解析を行い臨床的治見を得たので報告する.【方法】肝切除22例において術前,後1,3,6,9,12か月のNX-PVKAを測定.従来のPIVKA-II,NX-PVKA,PIVKA-IIとNX-PVKA比(NX-PVKA-R)と差(NX-PVKA-D)を算出し臨床病態との関連を検討した.【結果】各値の中央値は PIVKA-II;80mAU/ml,NX-PVKA;60mAU/ml, NX-PVKA-R;1.5,NX-PVKA-D;15mAU/mlで解析のcut-off値に設定した.PIVKA-IIはNX-PVKA(r=0.887), NX-PVKA-R (r=0.409),-D値(r=0.898)と有意な正の相関を認めた (p<0.05).臨床病態との関連を見ると,肝切除前治療で治癒できなかったものでPIVKA-II (p=0.083),NX-PVKA(p=0.071), NX-PVKA-R(p=0.065)が高い傾向にあったが,NX-PVKA-Dは差がなかった.肉眼分類における多結節癒合/浸潤型でNX-PVKA-Rのみ(6.42±6.70),単純結節型(0.97±0.35)や単純結節周囲増殖型(2.03±1.80)より有意に高値を示した(p<0.05).進行程度等との相関はいずれも認めず.肝切除後2年間全例生存していたが,期間中再発を6例に認めた.各parameterのうちNX-PVKA-Rのみ高値例で無再発生存率が有意に低下した(2年生存68% vs. 0%,平均生存期間677 vs. 457日;p=0.035)が,22例中15例で術後12か月のNX-PVKA-R測定のフォローを行った.術後1か月目14例でNX-PVKA-Rはcut-off値を下回ったが(0.42±0.24),再発例では1か月目のNX-PVKA-Rが無再発症例より高値で(0.60±0.41vs. 0.37±0.12),術後6か月以降再上昇していた.【結論】NX-PVKA-Rを用いた評価が最も肝癌の腫瘍形態や再発と関連しており,また術後測定値の再上昇が再発病態を鋭敏に反映していた.
索引用語 NX-PVKA-R, 肝癌