セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

原発性肝癌-診断2

タイトル 肝P-203:

肝癌診断におけるPIVKA-II/ NX-PVKA ratioの腫瘍マーカーとしての意義―従来型PIVKA-IIと比較して―

演者 田中 貴大(徳島大・消化器内科)
共同演者 谷口 達哉(徳島大・消化器内科), 田中 宏典(徳島大・消化器内科), 友成 哲(徳島大・消化器内科), 高岡 遠(徳島大・消化器内科), 原田 利枝(徳島大・消化器内科), 佐藤 桃子(徳島大・消化器内科), 玉木 克佳(燈来会大久保病院), 三宮 勝隆(徳島大・消化器内科), 高山 哲治(徳島大・消化器内科)
抄録 【目的】PIVKA-IIは,AFPに比べて特異性の高い肝細胞癌(HCC)の腫瘍マーカーであるが,ビタミンK欠乏状態では偽陽性になるという問題点がある.近年,ビタミンK欠乏時に誘導されるPIVKA-II(NX-PVKA)を特異的に測定するキットが開発された.そこで今回我々は,HCC患者のPIVKA-II及びNX-PVKAを測定し,PIVKA-II/ NX-PVKA ratio (NX-PVKA-R)の腫瘍マーカーとしての意義を検討した.【方法】当院で診断したHCC170例,肝硬変(LC)13例,慢性肝炎(CH)48例,閉塞性黄疸(OJ)12例,ワーファリン服用者(WU)10例,健常人(NS)36例の計289例を対象とした.PIVKA-II及びNX-PVKAはECLIA法により測定し,cut off値はPIVKA-II 40mAU/mlとNX-PVKA-R 1.4と設定した.【成績】HCCにおけるPIVKA-IIの陽性率は71.0%,特異度は72.6%であった.NX-PVKA-Rの陽性率は,59.7%,特異度は91.7%であった.NX-PVKA-RのROC解析では,PIVKA-IIに比べてAUCが有意に大きかった.PIVKA-II及びNX-PVKA-Rの陽性率は,いずれもstageが進むにつれて増加した.但し,stageIV症例においては,NX-PVKA値そのものが高率(81.8%)に陽性であった.NX-PVKA陽性例はいずれも門脈浸潤が認められ,陰性例に比べて生存期間が有意に短かった(P=0.035).【結語】HCCの診断において,NX-PVKA-Rは従来型のPIVKA-IIに比べて感度はやや低いものの特異度が極めて高く,優れた診断マーカーであることが示唆された.また,NX-PVKA陽性例は門脈浸潤を高率に認め,予後不良マーカーになることが示唆された.
索引用語 肝細胞癌, 腫瘍マーカー