セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

原発性肝癌-外科切除

タイトル 肝P-207:

C型肝炎を背景とした肝細胞癌術後抗ウィルス治療の現状と効果

演者 脊山 泰治(都立墨東病院・外科)
共同演者 松田 真輝(都立墨東病院・外科), 忠願寺 義通(都立墨東病院・消化器内科), 宮田 陽一(都立墨東病院・外科), 米永 晃子(都立墨東病院・外科), 古本 洋平(都立墨東病院・消化器内科), 浅野 徹(都立墨東病院・消化器内科), 高濱 佑己子(都立墨東病院・外科), 真栄城 剛(都立墨東病院・外科), 宮本 幸雄(都立墨東病院・外科), 梅北 信孝(都立墨東病院・外科)
抄録 【目的】C型肝炎は依然として肝細胞癌の最大の発癌リスクである.近年は治療の成績向上もあり,抗ウィルス治療も含めた肝細胞癌治療が行われるようになってきた.当院でも外科,消化器内科が連携して肝癌治療,抗ウィルス治療に取り組んでいる.今回我々は,当院におけるC型肝炎を背景とした肝細胞癌切除症例におけるウィルス治療の現状と効果を検討した.【方法】2005年から2012年までの8年間に,当院外科で切除したC型肝炎を背景とした肝細胞癌78例を対象として,治療歴,手術時のウィルス状態を集計した.また,術後抗ウィルス治療実施状況,再発率を前期(2005-2009)と後期(2010-2012)で比較した.【成績】78症例の肝切除回数は初回61例,2回目 14例,3回目3例であった.HCV 治療歴があったのは30例,なかったのは48例であった.治療歴のあった30例中SVRが得られていたのは10例(全体の12.8%),ETR(治療終了時血中HCV-RNA感度以下)4例であった.術後抗ウィルス治療を施行したのは17例であり,61例では施行していなかった.抗ウィルス治療はPEG-IFN+リバビリン療法が10例,PEG-IFN+リバビリン+テラプレビルの3剤療法が7例であった.17例中,13例で血中HCV-RNA感度以下となっていた(抄録の時点でSVR 6例,RVR 6例,cEVR 1例).期間別で見ると,術後抗ウィルス治療を施行したのは前期では34例中2例(6%)であったのに対し,後期では43例中15例(35%)と著明に増加していた.後期で再発率を比較すると,術後抗ウィルス治療施行群で3/15例(20%)に対し抗ウィルス治療非施行群では9/28例(32%),と非施行群で高い傾向にあったが有意差はなかった.【結論】肝細胞癌切除後の抗ウィルス治療施行率は上昇し,血中ウィルス感度以下が得られる率も高かった.抗ウィルス治療群でも再発は一定の頻度で認め,再発予防効果は今後の課題である.
索引用語 肝細胞癌, C型肝炎