セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

原発性肝癌-外科切除

タイトル 肝P-208:

肝細胞癌に対する肝切除前neoadjuvant chemotherapyの検討

演者 筒井 りな(公立八女総合病院・肝臓内科)
共同演者 永松 洋明(公立八女総合病院・肝臓内科), 平城 守(公立八女総合病院・外科), 平井 真吾(公立八女総合病院・肝臓内科), 城野 智毅(公立八女総合病院・肝臓内科), 出口 章広(公立八女総合病院・肝臓内科), 佐田 通夫(久留米大・消化器内科)
抄録 【目的】肝細胞癌に対する肝切除前のneoadjuvant chemotherapyは有効ではないとされている.しかし,高悪性度の肝細胞癌は,肝切除後早期に多発再発をきたすことがあり,予後が著しく不良となることが経験される.我々は高悪性度な肝細胞癌に対して,肝切除前肝動注化学療法を施行しており,その有用性を検討した.【対象】2003年6月から2012年6月までの期間,当院にて肝切除術を行った肝細胞癌症例75例のうち術前精査で多結節融合型または単結節周囲増殖と考えられた高悪性度結節症例51例を対象とした(平均年齢68.2歳,腫瘍径中央値31.7mm,Stage I / II / III / IV-A:3 / 24 / 17 / 7例.【方法】肝切除前精査は全例Angio-CTを撮影し,高悪性度の所見が得られた場合,当日簡易リザーバーを留置する.CDDP:10mg+5FU:250mg/day動注を10回施行し簡易リザーバーを抜去,その後2から4週で肝切除を行う.切除後の無再発期間をKaplan-Meier法で算出し,術前動注の有無での差をLog-Rank検定で比較した.術前動注有症例と動注無症例間の差はMann-Whitney U検定で比較した.【結果】肝切除前動注を施行したのは12例:A群,動注無は39例:B群とした.A群とB群の症例間で有意差がみられたのは,腫瘍病理組織のpoor( P=0.013 )のみで,A群は5例(42%),B群は4例(10%)であった.腫瘍個数2結節以上の症例は,A群が7例(58%),B群は13例(33%)でA群に多数例が多い傾向がみられた(P=0.065).脈管侵襲はA群が9例(75%),B群は20例(51%)とA群のほうに悪性度が高い傾向がみられた(P=0.091).1年,2年,3年無再発生存はA群で100,73,73%,B群で68,59,43%で,Log Rank検定はP=0.086とA群で延長する傾向にあった.【結論】A群は悪性度が高い症例が多かったが,PFSは延長する傾向がみられた.術後の早期再発は予後不良因子である.高悪性度の肝細胞癌において,術前の短期肝動注はPFSを延長し,予後を改善させる可能性がある.
索引用語 肝細胞癌, neoadjuvant chemotherapy