セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

原発性肝癌-局所治療1

タイトル 肝P-209:

当院における肝細胞癌に対するラジオ波焼灼療法の治療成績-肝動脈化学塞栓療法の併用の有無による局所再発,合併症についての検討-

演者 佐治 雪子(市立伊丹病院・消化器内科)
共同演者 大内 祥平(市立伊丹病院・消化器内科), 小山 秀和(市立伊丹病院・消化器内科), 三浦 由雄(市立伊丹病院・消化器内科), 山口 典高(市立伊丹病院・消化器内科), 荻山 秀治(市立伊丹病院・消化器内科), 堀木 優志(市立伊丹病院・消化器内科), 佐野村 珠奈(市立伊丹病院・消化器内科), 村山 洋子(市立伊丹病院・消化器内科), 筒井 秀作(市立伊丹病院・消化器内科)
抄録 【目的】肝細胞癌に対するラジオ波焼灼療法(RFA)と肝動脈化学塞栓療法(TACE)の併用はRFA単独治療に比べ治療効果が高いと考えられ一般に広く行われているが,その有用性に関して明確な見解は得られていない.当院でのRFA治療症例でのTACEの併用の有無での局所再発,合併症につき検討を行った.【方法】2009年4月から2012年12月までに当院で局所制御のためRFAを施行し,3か月以上経過観察できた肝細胞癌52例,65結節を対象としレトロスペクティブに検討した.症例は男性34例,女性18例,平均年齢71.7±8.0歳,原疾患はC型肝炎41例,B型肝炎3例,アルコール性6例,自己免疫性肝炎2例であった.RFA単独群とTACE併用群に分類し,局所再発率,合併症につき検討した.【成績】RFA単独群は29結節,TACE併用群は37結節であり,腫瘍径はそれぞれ平均15.0±4.8mm,21.6±7.1mmとTACE併用群で有意に大きかった(p<0.05).局所再発率はRFA単独群10.3%(3/29)とTACE併用群10.8%(4/37)と同等であった.TACE併用群において,局所再発率は腫瘍径10-19mmで12.5%(2/16),20-29mmで16.6%(2/12),30-39mmで0%(0/9)であった.局所再発例は,RFA単独群では肝表面のものが多く(2/3),TACE併用群ではTACEを繰り返しているものが多かった(2/4).合併症は,RFA単独群ではみられず,TACE併用群で肝梗塞11%(4/36),胆管拡張6%(2/36)がみられた.肝梗塞は4例のうち3例が右葉後区域に見られ,胆管拡張は2例とも左葉外側区域に見られた.いずれも肝不全,黄疸などは見られず,経過観察可能であった.【結論】RFA単独群に比べTACE併用群の方が腫瘍径が大きかったが,局所再発率に差はみられなかった.TACE併用群では,腫瘍径30-39mmの比較的大きな腫瘍でも良好な成績を得られた.TACE併用群では,肝梗塞,胆管拡張などの合併症がより多い傾向があり注意が必要と考えられた.
索引用語 ラジオ波焼灼療法, 肝動脈化学塞栓療法