セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

原発性肝癌-局所治療2

タイトル 肝P-214:

肝細胞癌に対するバルーン付マイクロカテーテルを用いたB-TACEの有用性

演者 岡部 和利(くまもと森都総合病院・外科)
共同演者 別府 透(熊本大大学院・消化器外科学), 小森 宏之(くまもと森都総合病院・外科), 佐野 收(くまもと森都総合病院・外科), 山中 剛(くまもと森都総合病院・外科), 藤山 重俊(くまもと森都総合病院・肝臓・消化器内科), 馬場 秀夫(熊本大大学院・消化器外科学)
抄録 【目的】肝細胞癌(HCC)に対する肝動脈化学塞栓療法(TACE)におけるバルーン付マイクロカテーテルを用いたB-TACE(Balloon-occluded transarterial chemoembolization)の有用性を検討した.【方法】2013年1月よりB-TACEを導入し17例に施行した(B-TACE群).同一症例で以前従来の選択的TACEを施行した11例(TACE群)と術後検査値,有害事象,早期治療効果について比較検討した.薬剤投与,塞栓部位により左右肝動脈(conventional:C),区域枝(selective:S),亜区域枝又はそれ以下 (superselective:SS)に細分化し,肝外血管栄養枝や高度AP shuntを有する症例はB-TACEの適応外とした.【成績】1.背景は男性:女性が12:5,平均年齢は76.2歳,Virus markerはB/C/nonBnonCが0/13/4であった.2.肝予備能及び進行度はChild A/B/Cが11/6/0,Stage I/II/III/IVA/IVBが0/7/9/0/1であった.3.TACE回数は1/2/3回目以上が2/4/11,腫瘍数は1/2/3個以上が2/4/11であった.4.薬剤はCDDP-Lp/CDDP-Epi-Lp/Epi-Lp/MIP-LpがB-TACE群(7/7/2/1),TACE群(5/2/4/0)であり,投与部位はC/S/SSがB-TACE群(8/6/3),TACE群(0/4/7)であった.全例にGelpart(1mm)で塞栓を行なったが破砕はしなかった.5.LpとGelpartの使用量は両群で有意差はなく,検査値はAST,ALTがB-TACE群で有意に上昇した.有害事象はGrade 1の疼痛,発熱,食欲不振がB-TACE群で有意に高かった.重篤な合併症は両群ともなかったがB-TACE群で胆管炎を1例に認めた.6.早期治療効果はTE1/2/3/4がB-TACE群(0/3/7/7),TACE群(0/3/2/6)で有意差はなかった.【結論】B-TACE では一部検査値変動と有害事象が従来の選択的TACEより顕著であったが一過性であり全例速やかに改善した.左右肝動脈からのいわゆるばら撒きB-TACEにおいても同様であり,安全性は当科の適応においては問題なかった.今後は中長期治療効果の評価とさらなる適応拡大について検討を要する.
索引用語 肝細胞癌, B-TACE