セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

原発性肝癌-局所治療2

タイトル 肝P-215:

当院におけるマイクロバルーン閉鎖下肝動脈化学塞栓療法(B-TACE)の経験

演者 滝澤 大地(伊勢崎市民病院・内科)
共同演者 上野 敬史(伊勢崎市民病院・内科), 畑中 健(伊勢崎市民病院・内科), 片貝 堅志(片貝クリニック), 柿崎 暁(群馬大大学院・病態制御内科学)
抄録 【目的】肝細胞癌に対する肝動脈化学塞栓療法(TACE)は,リピオドールの集積が良好なほど局所制御率は向上する.最近,化学塞栓剤としてミリプラチンが用いられているが,その粘稠性のため,癌結節に薬剤が十分到達する前に,支配動脈が閉塞してしまう症例を経験する.Irieらにより報告されたマイクロバルーン閉鎖下肝動脈化学塞栓療法(B-TACE)は,バルーン閉鎖により血管内圧が低下するため,血管抵抗の少ない癌結節に優先的に薬剤を注入することができると考えられている.今回,我々は,当院で行ったミリプラチンを用いたB-TACEについて検討を行ったので報告する.【方法】2012年4月より2013年3月までの間に,当院でミリプラチンを用いてB-TACEを行った肝細胞癌症例を対象とした.B-TACEの手技はIrieらの報告に従ったが,適応は肝両葉への多発症例も含めて拡大した.治療効果は治療後1ヶ月後のCTにて標的結節治療効果度(TE)で判定し,有害事象はCTCAEで評価した.【成績】投与症例は20例で,平均年齢 72.2才,男女比 14:6,HBV/HCV/NBNC = 1/17/2,Stage I/II/III/IV = 0/6/14/0,平均最大腫瘍径 41.1mm,Child-Pugh分類A/B/C = 9/11/0であった.ミリプラチンの平均総投与量は80mgであった.治療効果度は,TE1/2/3/4 = 0/5/7/2であった.治療効果は結節数の比較的少ない症例で良好であった.副作用は嘔気,疼痛を認めたが,Grade 3以上の副作用は認めなかった.治療前後の肝予備能はChild-Pugh scoreで6.2点から6.8点と増加したが,有意差はなかった.【結論】B-TACEは今までのTACEと同様,比較的安全に施行でき,ミリプラチンの投与量を増加させることが可能であった.結節数の比較的少ない症例では良好な治療成績が得られた.しかし,結節多発例においては効果が不十分な症例もあり,今後更なる工夫や適応の選択が必要と考えられた.
索引用語 B-TACE, ミリプラチン