セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

原発性肝癌-局所治療3

タイトル 肝P-221:

肝癌に対するRFAにおけるBipolar needleの使用経験

演者 友成 暁子(手稲渓仁会病院・消化器病センター)
共同演者 辻 邦彦(手稲渓仁会病院・消化器病センター), 山崎 大(手稲渓仁会病院・消化器病センター), 青木 敬則(手稲渓仁会病院・消化器病センター), 姜 貞憲(手稲渓仁会病院・消化器病センター), 児玉 芳尚(手稲渓仁会病院・消化器病センター), 桜井 康夫(手稲渓仁会病院・消化器病センター), 真口 宏介(手稲渓仁会病院・消化器病センター)
抄録 【背景】ラジオ波焼灼療法(RFA)は肝癌(HCC)に対する局所療法として広く普及しており,従来,そのデバイスは単針並びに展開針ともに対極版を必要とするMonopolar systemであった.本年に入り新たに承認されたRFA systemであるBipolar針を用いてRFAを施行したので,その使用経験について報告する.
【対象】2013年2月にBipolar針を用いてRFAを施行した肝腫瘍(肝細胞癌8,大腸癌肝転移1)の9例10病変.
【方法】超音波装置はV-nav搭載のGE社製 LOGIQ E9を使用し,RFAはOlympus社製 のCelonLab POWERを電源装置として施行した.穿刺針は15Gで全長が15~20cm,先端の非絶縁部が20~40mmであり,対象の腫瘍径や局在に応じて選択した.全ての穿刺針を生理食塩水で環流し,出力やインピーダンスをPCでmonitoringしながら焼灼を施行した.抜針時には適宜,tract ablationも追加した.
【結果】患者の平均年齢は73歳,男女比は6:3であった.病変の平均腫瘍径は15.7mm(8~23mm)で,占拠部位はS4が1,S5が1,S6が3,S7が4,S8が1病変であった.腫瘍径が小さい1例のみ穿刺針は1本で施行し,9例は標的腫瘍を挟み込むように穿刺針を2本刺入して施行した.RFA中の出力電力の平均は45Wであり,焼灼に要したエネルギー量の平均は26.5kJであった.4病変のRFAにおいて,補助ツールとしてGE社製のVirtuTRAXを併用した.全例,1回のセッションで良好な治療効果が得られた.
【まとめ】新たな治療ツールであるBipolar systemを用いてRFAを施行した.Bipolar針では必要な電力が低出力でも十分な焼灼が得ることができ,術中の疼痛など患者への負担が軽減された.従来,複数回穿刺の際に初回焼灼後のバブリングによるアーチファクトのために2回目の穿刺が困難となることが経験されたが,Bipolar針を用いることで解消され,計画的治療がより確実となると思われた.今後,より腫瘍径の大きな病変に対する治療効果も期待され,RFAの有用な治療支援ツールとなる可能性が示唆された.
索引用語 RFA, 肝癌