抄録 |
【目的】肝細胞癌に対するラジオ波焼灼療法(RFA)は低侵襲であることから広く普及している治療である.小結節であれば肝切除にほぼ匹敵する治療成績が可能な一方で,治療後早期に再発をきたす症例や,予後不良である症例も存在する.今回我々はRFA治療後に早期再発や予後不良をきたす因子を検討し,治療法の変更につながるか考察した.【方法】2001年1月以降,当科にて肝細胞癌の初発治療としてRFAが選択された372例のうち,最大腫瘍径3cm以下3結節以下の301症例を対象としretrospectiveに解析を行った.男性/女性 176 / 125例,HBsAg陽性34例,HCV-Ab陽性221例,Child-Pugh A / B / C 221 / 82 / 6例,腫瘍個数 1 / 2 / 3個 194 / 76 / 31例,最大腫瘍径中央値18mm(8-30)であった.【成績】6または12ヶ月以内に再発をきたした症例はそれぞれ6.5%, 23.8%であった.また累積1 / 2 / 3年生存率は97.0 / 85.3 / 75.8%であった.12ヶ月以内の早期再発に寄与した因子は,TACE併用,stage, 多発,AST >5*ULN, ALT >5*ULN, AFP >400ng/ml, PIVKA-II >40mAU/mlであった.また2年以内の早期死亡に寄与した因子として,肝硬変合併,TACE併用,stage,AST >5*ULN, ALT >5*ULN, PIVKA-II >40mAU/mlが抽出された.1年以内に再発した54例中,83%にあたる45症例に1つ以上の早期再発寄与因子を有していたが,理論上肝切除が可能と考えられた症例は46.7%にとどまった.【結論】RFAの適応と一般的に考えられる3cm3結節以内の症例であっても,早期再発や予後不良な症例の特徴を抽出することが可能であった.約半数は肝切除へ治療方針変更することが可能であり治療法の変更で腫瘍制御が改善できる余地が残されていたが,肝切除適応外でRFAを選択せざるを得ない症例に対する追加処置をどうするか今後の検討を要する. |