セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

原発性肝癌-分子標的治療1

タイトル 肝P-229:

進行肝細胞癌(StageIVaとstageIVb)におけるソラフェニブ非投与群と投与群の予後の検討

演者 川村 梨那子(関西医大・3内科(消化器肝臓内科))
共同演者 関 寿人(関西医大・3内科(消化器肝臓内科)), 井口 亮輔(関西医大・3内科(消化器肝臓内科)), 岡崎 和一(関西医大・3内科(消化器肝臓内科)), 横井川 規巨(関西医大・外科), 北出 浩章(関西医大・外科), 權 雅憲(関西医大・外科)
抄録 【緒言】ソラフェニブの登場により進行肝細胞癌症例(StageIVaとStageIVb)の予後が改善したか否かを評価するため,ソラフェニブ非投与群(以下非投与群)とソラフェニブ投与群(投与群)の予後をRetrospectiveに比較検討した.【方法】対象は2000~2012年の期間で進行肝細胞癌(stageIVaとstageIVb )と診断された183例中治療介入を行った161例.非投与群119例(stageIVa 99例,stageIVb 20例)と投与群41例 (stageIVa 8例,stageIVb 33例)の予後を比較した.尚両群間に背景肝疾患の差異は認めていない.StageIVaでは非投与群の治療はTACE 56例,TAI 26例,外科切除7例,リザーバー動注6例,その他4例.投与群の投与量は800mg/日2例,400mg/日5例,200mg/日1例.StageIVbでは非投与群の治療はTACE 15例,TAI 4例,その他1例.遠隔転移巣に対しては無治療あるいは放射線治療,UFT投与等が併用された.投与群の投与量は800mg/日7例,400mg/日24例,200mg/日2例であった.【結果】StageIVaではMST(日)は非投与群:178,投与群:226,1年生存率(%)は非投与群:24,投与群:50,平均観察期間(日)は非投与群:268.5±343.6,投与群:269.6±161.8.非投与群の治療別MSTはTACE:188,TAI:93,外科切除:389,リザーバー:180.StageIVbではMSTは非投与群:144,投与群:220,1年生存率(%)は非投与群:17,投与群:38,平均観察期間は非投与群:348.1±555.7,投与群:294.1±255.2.非投与群の治療別MSTはTACE:217であった.治療別に生存率を比較すると,StageIVa ではTAI群との比較で,投与群にて良好(L-R test: P<0.05)であった.しかし他の治療法との比較では差を認めなかった.【結語】StageIVa のTAI群を除き,非投与群と比較して,投与群にてMSTが延長する傾向は認められたが,生存率に有意差は認めなかった.進行肝細胞癌に対して従来の治療とソラフェニブをどのように使い分けるかは今後の課題である.
索引用語 進行肝細胞癌, ソラフェニブ