セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

原発性肝癌-分子標的治療1

タイトル 肝P-231:

当院におけるソラフェニブでの治療経験

演者 大竹 俊哉(自治医大附属病院・消化器・肝臓内科)
共同演者 礒田 憲夫(自治医大附属病院・消化器・肝臓内科), 渡邊 俊司(自治医大附属病院・消化器・肝臓内科), 廣澤 拓也(自治医大附属病院・消化器・肝臓内科), 津久井 舞未子(自治医大附属病院・消化器・肝臓内科), 宮田 なつ実(自治医大附属病院・消化器・肝臓内科), 長嶺 伸彦(自治医大附属病院・消化器・肝臓内科), 菅野 健太郎(自治医大附属病院・消化器・肝臓内科)
抄録 【目的】当院で50例の肝細胞癌患者に対し,ソラフェニブによる治療を行った.この50例におけるソラフェニブの効果・副作用につき報告する.また,著明な腫瘍縮小効果が得られた症例を経験したため併せて報告する.【対象】2009年5月より2012年3月までにソラフェニブによる治療を行った肝細胞癌患者50例.患者の平均年齢は72歳.性別は男性28例,女性22例.ソラフェニブ導入時の肝予備能はChild-Pugh 5点が26例,6点が24例であった.【成績】12週以上,治療を継続出来た37例に関し,治療開始12週の時点でmRECISTを用いて判定すると,CR 0例,PR 3例,SD 8例 ,PD 26例.PR以上の奏効率は8%,SD以上の病態制御率は30%.全患者の生存曲線の解析で中央値は5.0ヶ月.患者をBCLC stagingにあてはめると,stage Bが37例,Cが13例であり,このstage B群とC群間では生存率に有意差が認められた.治療を12週以上継続出来なかったのは13例であったが,中断の理由としては肝不全8例,多形紅斑4例,腫瘍増大2例,下痢2例(重複あり)であった.【症例】88歳,男性.肝細胞癌の初回治療は2004年.以後,計5回のTACE治療歴があった.2012年7月,CTにて腹膜播種結節を指摘.このためTACE不応例として,同年8月よりネクサバール400mg/日で治療を開始した.治療開始後2ヶ月のCTで播種結節の著明な縮小効果が認められ,更に治療開始後4ヶ月のCTでは播種結節が完全に消失していた.以後,ネクサバールでの治療を継続中であるが,現在もCRを維持している.【結論】当院におけるソラフェニブの治療効果は日本における市販後調査とほぼ同等の結果であった.BCLC B群とC群間には生存率に有意差が認められ,TACE不能・不応例において早期のソラフェニブ導入の有効性が示唆された.また,稀ではあるがネクサバールにより著明な腫瘍縮小効果が得られる症例も経験され,TACE不能・不応例においては,肝予備能が良好であれば積極的にネクサバールの治療を検討すべきと考えられた.
索引用語 ソラフェニブ, 肝細胞癌