共同演者 |
米田 正人(横浜市立大附属病院・消化器内科), 今城 健人(横浜市立大附属病院・消化器内科), 留野 渉(横浜市立大附属病院・消化器内科), 小川 祐二(横浜市立大附属病院・消化器内科), 結束 貴臣(横浜市立大附属病院・消化器内科), 鈴木 香峰理(横浜市立大附属病院・消化器内科), 馬渡 弘典(横浜市立大附属病院・消化器内科), 藤田 浩司(横浜市立大附属病院・消化器内科), 前田 愼(横浜市立大附属病院・消化器内科), 中島 淳(横浜市立大附属病院・消化器内科), 斉藤 聡(横浜市立大附属病院・消化器内科) |
抄録 |
【目的】当院における進行肝細胞癌 (HCC) に対するsorafenibの治療成績を検討する. 【方法】2013年3月までに当院当科でsorafenib投与し経過観察可能であった進行HCC症例33例を対象とした. (内訳) 男性/女性=28/5, 平均年齢: 70.2歳, 原因: HCV/HBV/alcohol/NonBnonC=14/10/6/3, 前治療: あり/なし=30/3, Child-Pugh: A/B=29/4, 臨床病期: II/III/IVA/IVB=2/18/6/7であった. 初回量400~800mgを可能な限り投与継続し, 各種解析を行った. 【成績】生存率: 3/6/12/24ヶ月=94%/65%/37%/19%, 無増悪生存率: 1/3/6/12ヶ月=77%/68%/32%/21%, 平均生存期間10.4ヶ月, 平均無増悪生存期間5.0ヶ月であった. 治療効果は評価不能例4例を除き, RECIST: SD/PD=13/16で病勢制御率45%, modified RECIST (mRECIST): PR/SD/PD=4/10/15で奏功率14%, 病勢制御率48%であった. 副作用 (CTCAE v4.0 grade 3以上) は6例 (18%) に出現し, 内訳は手足皮膚反応1例, 肝障害2例, 全身皮膚障害3例で, 全例が内服開始後4週以内に出現しておりsorafenib早期中止に至った. また6例中4例が国内承認後1年以内の早期導入例で, 後期導入例よりも多い傾向が認められた (p=0.088). TACE不応の定義 (肝癌診療マニュアル第2版, 2010年) に準拠しTACE不応群 (19例), TACE非不応群 (14例) の2群に分けてサブ解析を行った. 病勢制御率RECIST: 44%/45%, mRECIST: 50%/55%, 生存率:3ヶ月90%/100%, 6ヶ月66%/64%, 1年34%/42%と有意差無く, 生存期間についても同様であった. 長期生存に関与する因子を多変量解析 (Cox比例ハザード分析) した結果, 臨床病期のみが独立した予後規定因子として抽出された. 【結論】今回の検討でsorafenib治療は, TACE不応などsorafenib導入前治療の影響を受けにくいと考えられた. 副作用に対する適切な支持療法を施行しながらsorafenib投与継続していくことが, 進行HCC症例の予後改善のために重要であると考えられた. |