セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

原発性肝癌-分子標的治療1

タイトル 肝P-232:

当院における進行肝細胞癌に対するsorafenibの治療成績

演者 桐越 博之(横浜市立大附属病院・消化器内科)
共同演者 米田 正人(横浜市立大附属病院・消化器内科), 今城 健人(横浜市立大附属病院・消化器内科), 留野 渉(横浜市立大附属病院・消化器内科), 小川 祐二(横浜市立大附属病院・消化器内科), 結束 貴臣(横浜市立大附属病院・消化器内科), 鈴木 香峰理(横浜市立大附属病院・消化器内科), 馬渡 弘典(横浜市立大附属病院・消化器内科), 藤田 浩司(横浜市立大附属病院・消化器内科), 前田 愼(横浜市立大附属病院・消化器内科), 中島 淳(横浜市立大附属病院・消化器内科), 斉藤 聡(横浜市立大附属病院・消化器内科)
抄録 【目的】当院における進行肝細胞癌 (HCC) に対するsorafenibの治療成績を検討する. 【方法】2013年3月までに当院当科でsorafenib投与し経過観察可能であった進行HCC症例33例を対象とした. (内訳) 男性/女性=28/5, 平均年齢: 70.2歳, 原因: HCV/HBV/alcohol/NonBnonC=14/10/6/3, 前治療: あり/なし=30/3, Child-Pugh: A/B=29/4, 臨床病期: II/III/IVA/IVB=2/18/6/7であった. 初回量400~800mgを可能な限り投与継続し, 各種解析を行った. 【成績】生存率: 3/6/12/24ヶ月=94%/65%/37%/19%, 無増悪生存率: 1/3/6/12ヶ月=77%/68%/32%/21%, 平均生存期間10.4ヶ月, 平均無増悪生存期間5.0ヶ月であった. 治療効果は評価不能例4例を除き, RECIST: SD/PD=13/16で病勢制御率45%, modified RECIST (mRECIST): PR/SD/PD=4/10/15で奏功率14%, 病勢制御率48%であった. 副作用 (CTCAE v4.0 grade 3以上) は6例 (18%) に出現し, 内訳は手足皮膚反応1例, 肝障害2例, 全身皮膚障害3例で, 全例が内服開始後4週以内に出現しておりsorafenib早期中止に至った. また6例中4例が国内承認後1年以内の早期導入例で, 後期導入例よりも多い傾向が認められた (p=0.088). TACE不応の定義 (肝癌診療マニュアル第2版, 2010年) に準拠しTACE不応群 (19例), TACE非不応群 (14例) の2群に分けてサブ解析を行った. 病勢制御率RECIST: 44%/45%, mRECIST: 50%/55%, 生存率:3ヶ月90%/100%, 6ヶ月66%/64%, 1年34%/42%と有意差無く, 生存期間についても同様であった. 長期生存に関与する因子を多変量解析 (Cox比例ハザード分析) した結果, 臨床病期のみが独立した予後規定因子として抽出された. 【結論】今回の検討でsorafenib治療は, TACE不応などsorafenib導入前治療の影響を受けにくいと考えられた. 副作用に対する適切な支持療法を施行しながらsorafenib投与継続していくことが, 進行HCC症例の予後改善のために重要であると考えられた.
索引用語 sorafenib, TACE不応