セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

原発性肝癌-分子標的治療1

タイトル 肝P-233:

局所進行肝細胞癌(高度脈管浸潤,多発肝内転移,TACE不応および不能例)に対する第一選択としてのソラフェニブの治療成績

演者 葛谷 貞二(名古屋大・消化器内科)
共同演者 石上 雅敏(名古屋大・消化器内科), 今井 則博(名古屋大・消化器内科), 阿知波 宏一(名古屋大・消化器内科), 荒川 恭宏(名古屋大・消化器内科), 山田 恵一(名古屋大・消化器内科), 中野 聡(名古屋大・消化器内科), 石津 洋二(名古屋大・消化器内科), 本多 隆(名古屋大・消化器内科), 林 和彦(名古屋大・消化器内科), 石川 哲也(名古屋大・消化器内科), 後藤 秀実(名古屋大・消化器内科)
抄録 【目的】遠隔転移を伴わない局所進行肝細胞癌(高度脈管浸潤,多発肝内転移,TACE不応および不能例)に対する第一選択としてのソラフェニブの治療成績を検討する.【方法】2011年4月より当院にてソラフェニブを導入した78例中,遠隔転移を伴わない局所進行肝細胞癌50例を対象とした.治療開始時,2週間後,6週間後に造影CTおよび腫瘍マーカー(AFPとPIVKA-2)の測定を行い,治療成績は6週間後,mRECIST基準にて判定した.2週間後に画像上みられた阻血性変化(腫瘍濃染の消失や減弱)も評価した.【成績】平均年齢は66.7歳,HCCはStage3が29例,Stage4Aが21例であった.治療成績はStage3はPRが6例,SDが18例,PDが3例で,奏効率は25.0%,disease control rateは87.5%であった.Stage4AはPRが5例,SDが7例,PDが8例で,奏効率は25.0%,disease control rateは60.0%であった.累積生存率(6か月/1年)はStage3が91%/63.6%,Stage4Aが62.3%/36.4%であった.2週間後に阻血性変化が認められた症例はStage3は22例(75.9%),Stage4Aは15例(71.4%)であった.投与中止後の治療方針はStage3がTACE 4例,肝動注リザーバー1例,UFT内服4例,経過観察6例,Stage4はTACE 3例,肝動注リザーバー1例,UFT内服3例,経過観察9例であった.経過観察となった理由はいずれも投与中止時の肝予備能不良であった.後治療を選択できた症例はできなかった症例より有意に生存率が良好であった.また,TACE不応にてソラフェニブを投与した症例のうち,PD判定後に再びTACEを選択した7例中2例でTACEが奏効した.【結語】当院における局所進行肝細胞癌に対する第一選択としてのソラフェニブの治療成績をStage別に検討した.更なる治療成績向上には,肝予備能悪化に注意し,適切なタイミングで後治療への切り替えを考慮することも必要であると考えられた.
索引用語 肝細胞癌, ソラフェニブ