セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

原発性肝癌-分子標的治療2

タイトル 肝P-235:

切除不能肝癌に対する分子標的治療薬の効果予測に係る検討~全国赤十字病院肝疾患ネットワークによる多施設共同研究

演者 竹田 治彦(大阪赤十字病院・消化器内科)
共同演者 西川 浩樹(大阪赤十字病院・消化器内科), 土谷 薫(武蔵野赤十字病院・消化器科), 上甲 康二(松山赤十字病院・肝胆膵センター), 河南 智晴(大津赤十字病院・消化器科), 谷口 博順(日本赤十字社医療センター・消化器内科), 折戸 悦郎(名古屋第二赤十字病院・消化器内科), 内田 靖(松江赤十字病院・消化器内科), 泉 並木(武蔵野赤十字病院・消化器科), 大崎 往夫(大阪赤十字病院・消化器内科)
抄録 目的:切除不能肝癌患者に対するsorafenib療法の予後予測因子と治療効果予測因子について検討する.対象と方法:本研究参加施設で2012年10月までにsorafenib療法を受けた371例の切除不能肝癌患者を対象とし,全生存期間(OS),無増悪生存期間(PFS)に係る因子につき解析した.解析対象因子は年齢,性別,PSなど患者因子,肝予備能,腫瘍因子等22項目.さらにmRECISTでPR以上の効果を得た症例の背景をSD以下の症例と比較し,奏効に係る因子につき解析した.結果:患者背景は男:女=298:73例,平均71歳(37-89歳).BCLC Cが234例(63.1%),Child Aが293例 (79.0%).OS,PFS中央値は249日,100日であった.多変量解析にてOS不良に係る因子として骨転移,腹水,ChE低値,LDH高値,AFP高値,DCP高値,男性が挙げられた.骨転移,腹水,DCP高値,LDH高値はPFS不良に係る独立した因子でもあった.次に,最良効果判定(mRECIST)はCR/PR/SD/PD/NEの順に 8/50/123//115/73例であった.単変量解析では女性,門脈腫瘍栓なし,腹水なし,T-BIL低値,γGTP低値が奏効に係る因子であった.男女別の奏効率は男性13.1%, 女性26.0%で,多変量解析にて女性が独立した奏効因子として抽出された (p=0.031, HR=2.087,95% CI;1.069-4.081).考察:従来の報告同様,予後因子として肝予備能や腫瘍の進行度が挙げられた.また女性がsorafenibの奏効因子として抽出された. 従来女性は肺癌や腎癌に対する分子標的治療の奏効因子と報告されているが,sorafenibにおいても性差が奏効に影響する可能性が示唆された.さらに現在,治療前の腫瘍生検組織を用いて遺伝子解析を行い,奏効に係るbiomarkerにつき解析中である.
索引用語 sorafenib, 効果予測