セッション情報 ポスターセッション(肝臓学会)

原発性肝癌-分子標的治療2

タイトル 肝P-238:

PD後継続投与例から見たソラフェニブの中止時期の検討

演者 和田 幸之(国立九州医療センター・肝胆膵外科)
共同演者 高見 裕子(国立九州医療センター・肝胆膵外科), 立石 昌樹(国立九州医療センター・肝胆膵外科), 龍 知記(国立九州医療センター・肝胆膵外科), 才津 秀樹(国立九州医療センター・肝胆膵外科DELIMITER国立九州医療センター・臨床研究センター)
抄録 【背景】進行肝細胞癌に対してソラフェニブをいつまで投与すべきか,いつ中止すべきか,明らかになっていない.そこで,今回我々は,画像PDと臨床的PDの関連を検討し,ソラフェニブの中止時期について考察を行った. 【対象と方法】2009年6月から2013年3月までにソラフェニブを導入した進行肝細胞癌患者110例のうち,効果判定施行96例を対象とした.1) 画像PDと臨床的PDの関連,2) 画像PD後,臨床的PD後のソラフェニブ投与継続の効果を検討した.なお,画像PDはソラフェニブ投与開始時あるいは縮小時と比較しmRECIST基準による増悪時点とし,一方,臨床的PDは直近の判定時の画像と比較して標的病変が120%以上の増大,新病変が多発,非標的病変の明らかな増悪のいずれかを示した時点とした. 【結果】96例のソラフェニブの効果はCR3例,PR6例,SD58例,PD32例,生存期間中央値14.0ヶ月,画像PDまでの期間(画像TTP)中央値4.1ヶ月,臨床的PDまでの期間(臨床的TTP)5.3ヶ月であった.1) 画像TTPと臨床的TTPの関連をみると,(臨床的TTP)=-20+1.6×(画像TTP)で表され,有意な関連性を認めた(p<0.001).2) 画像上PD後投与継続は,画像PD79例中43例になされ,効果はSD18例(42%),PD25例(58%)であった.そのうち,画像PDが開始4ヶ月以内の場合は,PD後継続してもSD3例,PD20例と大多数がPDであったが,5ヶ月以降の場合はSD15例,PD5例とSDが多くみられた.一方,臨床的PD後投与継続については,臨床PD74例中27例になされるも,効果はSD5例(18%),PD22例(82%)で,さらにSD5例とも増悪傾向であった. 【結語】4ヶ月以内の早期の画像PDでは,画像PDの時点で投与中止するのがよい.5ヶ月以降に画像PDとなった場合は,PD後の投与継続で長期SDが得られる可能性が高く,臨床的PDまで投与継続は有効と思われる.臨床的PD後の継続投与の有効性はない.
索引用語 肝細胞癌, ソラフェニブ